ワイヤレスイヤホンは、イコライザーでの音質調整が当たり前となり、機種の音質は重要ではないと思っていました。
一方、有線イヤホンは綿密な音作りがなされており、言わば十機種十色、それぞれ異なる音を楽しむことができます。
さらに、各ブランドには特有の「らしさ」があり、その中でもKZは特に個性的です。
KZの音と言えば、派手なドンシャリで音楽の楽しさを表現してくれるというイメージがあるかと思います。
KZから新たに発売されたワイヤレスイヤホン「XTRA」は、力強い低音と明瞭感のある高音を両立した、イコライザーなしでも楽しめるTWSです。
価格は60ドル(約1万円)で、aptX Adaptiveにも対応。
XTRAの特徴と他の製品との比較も含めてレビューしていきます。
さぁ、見ていきましょう。
パッケージ
パッケージはコンパクトで、KZらしいシンプルなデザインです。
裏側には、XTRAの特徴が記載されています。
カバーを外すと、充電ケースとイヤホン本体が収納されていました。
中にはさらに、アクセサリーが同梱されていたので確認してみましょう。
アクセサリー
セット内容
- 充電ケース
- イヤーピース:S/M/Lサイズ ※Mサイズはイヤホン本体に装着済み
- 説明書
付属品は必要最低限のものとなっており、充電用のUSBケーブルすら付属していません。
イヤーピースは、有線イヤホンに付属しているものと同じタイプです。
イヤホン
樹脂製で、黒を基調としたシンプルなデザインです。
主流のショートスティック型とは異なり、従来の有線イヤホンに近い形状を採用しています。
イヤホンのサイズは平均的な大きさで、小型とは言えませんが、邪魔になることはありません。
イヤホン本体は片側約5.6gと軽量で、長時間装着しても快適です。
また、ノズル口径は6mmで、TWS用のイヤーピースはもちろん、有線イヤホン用のイヤーピースも装着可能です。
装着感
シェルボディはエルゴノミックデザインが採用されており、耳にピッタリとフィットします。
耳から外れにくく、装着感が素晴らしい。
充電ケース
充電ケースは丸型で、とてもシンプルなデザインとなっています。
充電用のUSB-Cポートは、ケース背面に備えられています。
みんな大好き技適マークは、パッケージ裏面とケース底の両方に記されています。
充電ケースの蓋は緩く、簡単にパタンと閉じてしまうため、少しストレスを感じます。
充電ケースのボタンは説明書に記載されていませんでしたが、長押しすることで電源のオンオフ操作が可能でした。
イヤーピースによる蓋の開閉ついて
どのタイプのイヤーピースでも装着できるものの、充電ケースに収納できない場合があります。
有線用のイヤーピースは、ノズルが見えるほど深く装着しないと充電ケースから浮き上がってしまい、蓋が閉まりませんでした。
付属のイヤーピースとTWS用のイヤーピースは問題なく充電ケースに収納できました。
スペック
連続再生時間 | イヤホン再生時間:8時間 |
ケース併用:約32時間 | |
ドライバー | 10mmダイナミックドライバー |
Bluetoothバージョン | Bluetooth 5.4 |
対応プロファイル | A2DP/AVRCP/HFP/HSP |
対応コーデック | SBC/AAC/aptX/aptX Adaptive |
充電ポート | USB-C |
重量 | イヤホン片側5.6g |
ケース44.7g |
Qualcomm QCC3091チップ搭載
24ビット48kHzロスレス音楽ストリーミングをサポートしています。
また、旧製品に比べSN比が向上し、ノイズフロアが改善されています。
3つのモード搭載
- ノイズキャンセリング深度55dBのANCモード
- 周囲の音を取り込みながら音楽を楽しめるTransparencyモード
- 低遅延を実現するHigh Performanceモード
計3つのモードを搭載し、様々なシーンに合わせた使い方が可能です。
マルチポイント機能に関する記載はありませんでしたが、2台のデバイスと同時に接続でき、切り替えもスムーズに行えました。
また、防水性能についても表記がないため、水濡れには注意が必要です。
使用方法
充電ケースからイヤホンを取り出すと、ペアリングモードになります。
2回目以降は、登録済みのデバイスに自動接続されます。
イヤホンのタッチ操作
左イヤホン | 右イヤホン | |
---|---|---|
タップ | 再生/一時停止・受話/終話 | |
2回タップ | 曲戻し | 曲送り |
3回タップ | ハイパフォーマンスモード切替 | |
2秒長押し |
ノイズキャンセリング/ 外音取り込みモード切替 |
アシスタントを起動 |
電源OFF…左右6秒長押し
ペアリングモード…電源OFF時に左右7秒長押し
リセット…ペアリングモード時に左右4回タップ
基本的な操作は、一般的なワイヤレスイヤホンと変わりません。
また、専用アプリはないため、EQによる音質調整はオーディオプレイヤー側で行います。
細かな設定はできませんが、特に不便だと感じませんでした。
音質
- 使用デバイス:Google Pixel 7a
- 仕様アプリ :Amazon Music ※EQ未設定
- コーデック :aptX
- イヤーピース:AZLA SednaEarfit MAX for TWS
ワイヤレスでもKZらしい音を楽しめます。
ドンシャリというよりは、高音域の派手さはなく、低音域に比重が多い傾向です。
厚みのある中低音とクリアな高音域がバランスよく表現されています。
また、全体的に音は柔らかめ、ウォーム寄りの音質です。
幅広い音楽ジャンルを心地よく楽しめる、万人受けするサウンドに仕上がっていると思います。
最小音量が少し大きめ、音量調節の段階差は特に気になりませんでした。
機能
ノイズキャンセリングの性能は、3万円以上するSONY製品などの機種に比べると劣りますが、十分に効果が実感できます。
手のひらで両耳を軽く塞いでいるような、自然な遮音性となっています。
近くの物音や話し声は多少聞こえますが、圧迫感はあまり感じません。
外音取り込み機能は、周囲の音を十分に拾ってれます。
ただし、気にならない程度ですが、ホワイトノイズが入ります。
LINEで通話テストをしましたが、マイクの音声はクリアで、問題なく通話可能でした。
バッテリー駆動時間は、コーデックをSBCで使用した限り、おおよそ公表値通りでした。
接続品質
Google Pixel 7aでaptX、OPPO Reno5 AではaptX Adaptiveで接続し、長時間使用しました。
Bluetooth5.4の安定した接続品質で、接続切れや不安定になることなく快適に使用できました。
遅延
Device / OS | TWS / Bluetooth | Mode | CODEC | 1st try | 2nd try |
---|---|---|---|---|---|
OPPO Reno5 A Android 12 |
Xtra Bluetooth 5.4 |
High Performance Mode ON | Aptx Adaptive | 298ms | 300ms |
Aptx | 230ms | 224ms | |||
SBC | 220ms | 220ms | |||
AAC | 272ms | 272ms |
低遅延モードであるHigh Performance Modeにて遅延を測定をしてみました。
数値上はコーデックによる大きなバラつきはないようです。
普段使いでは気になるような遅延は見られませんでした。
しかし、音にシビアなゲームをプレイするには、違和感や遅延が気になる可能性があります。
使用アプリ:Superpowered Mobile Audio Latency Test App
※筆者がAptX Adaptiveに対応したデバイスは、OPPO Reno5 Aという古いデバイスしか保有していないため、新しいデバイスで測定を行うと、異なる結果になります。
比較
XTRA | 夢回 – Golden Ages | |
---|---|---|
連続再生時間 | イヤホン再生時間:8時間 | イヤホン:最大6時間(AAC) |
ケース併用:約32時間 | ケース併用:最大24時間 | |
充電時間 | 公表なし | イヤホン約1時間 ケース約1.5時間 |
ドライバー | 10mmダイナミックドライバー | 13mm平面駆動型ドライバー |
Bluetoothバージョン | Bluetooth 5.4 | Bluetooth 5.3 |
対応プロファイル | A2DP/AVRCP/HFP/HSP | A2DP/AVRCP/HFP/HSP |
対応コーデック | SBC/AAC/aptX/aptX Adaptive | SBC/AAC/LDAC/LC3 |
ワイヤレス充電 | なし | なし |
マルチポイント機能 | あり | なし |
重量 | イヤホン片側5.6g | イヤホン片側4.5g |
ケース44.7g | ケース35.6g | |
価格 | 約66ドル(KZ公式販売サイト) | 約80ドル(SHENZHENAUDIO) |
KZ「XTRA」と水月雨「夢回 – Golden Ages」を比較してみましょう。
水月雨とKZは、どちらも人気の高いイヤホンブランドであり、有線イヤホンをメインとして展開しています。
音質
・Golden Ages:バランスの良い音質で、特に中高音域がクリアで繊細な表現が特徴です。
・XTRA:低音域のパワフルな表現が特徴で、迫力のあるサウンドを楽しめます。
明確な優劣はなく、音質の好みによって評価が分かれると思います。
機能
両機とも、ノイズキャンセリング機能、外音取り込み機能、低遅延モードなど、豊富な機能を搭載しています。
大きな違いとしては、Golden Agesには専用アプリが用意されています。
このアプリでは、詳細な設定が可能となり、自分好みにカスタマイズすることができます。
ノイズキャンセリング性能
ノイズキャンセリング性能自体は、XTRAとGolden Agesで大きな差はありません。
しかし、XTRAは耳にぴったりとフィットするため、遮音性が高くなり、ノイズキャンセリング効果がより強く感じられます。
低遅延モード
Device / OS | TWS / Bluetooth | Mode | CODEC | 1st try | 2nd try |
---|---|---|---|---|---|
pixel7a android14 |
Xtra Bluetooth 5.4 |
High Performance Mode | Aptx | 244ms | 240ms |
SBC | 179ms | 164ms | |||
AAC | 214ms | 213ms | |||
夢回 – Golden Ages Bluetooth 5.3 |
GAME MODE | LDAC | 429ms | 403ms | |
SBC | 176ms | 161ms | |||
AAC | 240ms | 242ms |
両モデル共に低遅延になるモードが搭載されています。
計測してみましたが、Golden AgesのLDACを除いて大きな違いはありませんでした。
結果
音質は好みによって評価が分かれますが、XTRAは現在主流の楽曲に合うサウンドだと思います。
Golden Agesは接続品質の不安定さが弱点です。
機能面だけでなく、装着感や価格においてもXTRAの方が優れていると感じます。
一方で、3万円以上の国内販売モデルと比べると、XTRAはコストパフォーマンスの高いイヤホンと言えますが、音質や性能面では価格差なりの差を感じました。
総評
使ってみて、なかなかいいなと思いました。
有線イヤホンと変わらない形状で、装着感も快適です。
基本的な機能をすべて備え、接続品質も問題ありません。
KZのドンシャリサウンドから、少し落ち着いたマイルドな音質で、誰にでも楽しめる音になっています。
KZ XTRAは、おススメできるワイヤレスイヤホンです。
購入方法
KZ XTRAは、公式販売サイトにて購入可能です。
通常価格は65.99ドル(約1万円)ですが、現在セール開催中のため、55.99ドル(約8800円)にて販売中です。
Google Pixel 7a、OPPO Reno5 A、PCで音質が全然違ったのが面白かったです。
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