KBEARから登場した「KB03」は、骨伝導ユニットを搭載した有線イヤホンです。
価格はAmazonで7,989円。
Knowles製BAドライバーと10mmベリリウムメッキ振動板のダイナミックドライバーを組み合わせた1DD+1BA+1BCという独自構成を採用しており、力強い低音と自然な中高域を両立しています。
本記事では「KBEAR KB03」の音質や使用感を詳しくレビューし、「qdc SUPERIOR」と比較しながら、骨伝導イヤホンならではの響きや個性についても解説していきます。
パッケージ

KBEAR KB03のパッケージはやや大きめで、剣をモチーフにした力強いデザインが特徴です。


化粧箱を開けると、イヤホン本体とアクセサリー入りのボックスが収められています。
アクセサリー

セット内容
- イヤーピース(白濁色):S/M/Lサイズ
 - イヤーピース(灰色):S/M/Lサイズ
 - イヤーピース(黒色):S/M/Lサイズ
 - ケーブル(0.78mm 2Pinコネクタ):3.5mmプラグ
 - 説明書など
 
イヤーピースは硬さなどに微妙な違いがあり、付属ケーブルは5Nの高純度無酸素銅が採用されています。
イヤホン
ビルド


ハウジングは樹脂製で、フェイスプレートはマーブル調のカラーが採用されており、高級感のあるデザインです。
2Pinソケットはフラットに埋め込まれ、重量は片側5.6gと軽量です。


ノズルの直径は約6.1mmと平均的ですが、ステムが短いためイヤーピースが外れやすくなっています。
これは骨伝導ユニットを耳に密着させる設計によるものだと思われます。
装着感は良く、長時間でも快適に使用できます。
ドライバーユニット


公式情報によると、KB03はKnowles製BAドライバーを搭載し、高解像度で俊敏なレスポンスにより中高域の繊細な音を忠実に再現。
ボーカルや弦楽器も鮮やかに表現できます。
また、10mmベリリウムメッキ振動板のダイナミックドライバーにより、力強い低域と透明感のある高域を両立。
豊かな中域とスピード感あるレスポンスで、自然でバランスの取れたサウンドを楽しめるとのことです。
ドライバー構成は1DD+1BA+1BC(Bone Conduction)ですが、振動ユニットの詳細については公式情報に記載がありませんでした。
周波数特性

(※クリック・タップで拡大できます)
200Hz付近のディップ(谷)は、公式の特性表でも確認されている現象です。
通常の1DD+1BA構成とは異なり、中~低域を補強する骨伝導ユニットが加わることで音響特性に独特の変化が生じ、この周波数帯でのディップが現れているのかと思われます。
音質
使用環境


| アンプ | TOPPING L30 | 
| DAC | TOPPING E30 | 
| ケーブル | 付属ケーブル | 
| イヤーピース | 付属イヤーピース(黒色) | 
| エージング | 80時間 | 
音質評価

中〜低音域の響きの強さが印象的です。
全体としては柔らかく、暖色系の音色にまとまっています。
高音域:自然で聴きやすいトーン
高域は大きな主張がなく、聴きやすい高音域です。
BAドライバーらしいシャープさはありますが、過度なギラつきは感じられません。
キラキラとした煌めきや空気感の表現が美しく、心地よい音質です。
中音域:厚みのあるナチュラルな表現
中域は滑らかで厚みがあり、自然な音質です。
ただし、後述する骨伝導による響きの影響で、時折かき消されることがあります。
低音域:骨伝導が生む力強い響き
低音域は『ズーン』と全体に響き渡ります。
そのため、他の音域を隠してしまう傾向があります。
サブベースも強く、音が柔らかく残響はありますが、楽曲が遅くなったりモタつくことはありません。
定位・音場
定位は正確に配置されています。
音場は「やや広め」で、骨伝導の影響でサウンドステージは広がりを見せますが、その影響で音像がブレて聴こえるのが難点です。
まとめ
このイヤホンの最大の特徴は、骨伝導による音の響きです。
正直かなりクセがあり、人によって好き嫌いがハッキリ分かれると思います。
筆者自身も最初は馴染めませんでしたが、エージングなのか耳の慣れなのか、3〜4日で落ち着きが出てきました。
ボーカルは自然で美しく、特に男性ボーカルが力強く前へ出てきます。
音楽ジャンルを問わず幅広い楽曲に対応できるオールラウンダーです。
イヤーピース・ケーブル・アンプ
| インピーダンス | 9.4Ω | 
| 感度 | 101dB/mW | 
| 周波数帯域 | 20Hz – 20kHz | 
一見すると「鳴らしやすい仕様」に見えますが、実際には十分な駆動力が求められます。
スマホ単体での使用は力不足に感じるため、アンプの併用をおススメします。
イヤーピースはフィット感を重視して選ぶのがベストです。
付属ケーブルでも問題なく使用できますが、高純度な線材を採用したケーブルに交換すると、解像度や表現力が向上し、印象が良くなりました。
比較
今回は「KBEAR KB03」と「qdc SUPERIOR」を比較します。
qdc SUPERIOR
装着感
どちらのモデルも装着感は良いのですが、「SUPERIOR」はカスタムIEMのようなシェル形状を採用していて、より優れたフィット感を実現しています。
耳にピッタリと収まり、長時間のリスニングでも快適に使える点はさすがでした。
「KB03」も装着感は悪くないものの、シンプルな形状でフィット感ではSUPERIORに一歩譲る印象です。
音質
「SUPERIOR」を比較対象に選んだのは、「KB03」を聴いた際に音の傾向が近いと感じたからです。
周波数特性も似たようなカーブで、どちらも暖色系のサウンドが特徴ですが、聴き比べると明確な違いがあります。
低音域は圧倒的に「KB03」が強く、存在感があります。
「SUPERIOR」の低音は、サブベースが控えめですがキレが良く、引き締まった印象です。
中高音域については大きな差は感じにくいですが、ボーカル表現においては「KB03」がより自然で美しく前面に出てくる印象です。
これは搭載されているBAドライバーによる解像感の高さが影響していると考えられます。
そして最大の違いは『骨伝導ユニット』の有無です。
「KB03」は独特の響きを持ち、この要素があることで同じ暖色系のサウンドでも全く別物のイヤホンとして確立されています。
もし骨伝導機能がなければ、「SUPERIOR」との差はそれほど大きくなかったかもしれません。
| 項目 | KBEAR KB03 | qdc SUPERIOR | 
|---|---|---|
| ドライバー | 1DD+1BA+1BC | 1DD | 
| シェル/フェイスプレート | 樹脂/樹脂 | 樹脂/樹脂 | 
| 音質傾向 | 低音が強い暖色系 | バランスの取れた暖色系 | 
| 高音域 | シャープだが聴きやすい | 大人しいが見渡しが良い | 
| 中音域 | 厚みがあり自然 | 柔らかく厚みがある | 
| 低音域 | 振動ユニットにより強く響く | キレがあり押し上げてる | 
| ボーカル | 自然で美しい | 上手だが低音に阻まれる | 
| 音場 | やや広め | 普通~やや広め | 
| 装着感 | 良好 | 抜群に良い | 
| 重量(片側) | 約5.6g | 約5.4g | 
| Amazon価格(参考) | 7,989円 | 約14,300円 | 
総評
イヤホンを装着して上の歯と下の歯をコツンと噛み合わせると、イヤホンに振動が伝わるのがわかります。
また、音楽を再生しながら指でイヤホンに触ると、振動がはっきり感じられるほどです。
それだけ強力な音響効果を持つ骨伝導構造が特徴です。
音質はかなり個性的で、好みが分かれる仕上がりになっています。
以下のような方には特におすすめです──
- 面白い響きを持つイヤホンを試してみたい方
 - 強力な骨伝導効果を楽しみたい方
 - 普通のイヤホンでは物足りない体になってしまった方
 
販売情報
「KB03」は各サイトで販売中です。
カラーはグリーンとパープルから選択可能です。


  
  
  
  


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