SIVGAの新モデルのIEM「QUE-UTG」は、透明感のあるモニターサウンドと、ほんのり暖かみを帯びた優しい音色を兼ね備えた有線イヤホンです。
平板ガラス振動板を採用し、高い解像感と音の分離感を維持しながら、長時間の仕様でも聴き疲れしにくいチューニングとなっています。
音楽制作やミキシング用途はもちろん、ポップスやジャズ、アコースティックなど幅広いジャンルのリスニングにも最適です。
価格はAmazonで15,980円。
本記事では音質の詳細や、従来モデル「QUE」や水月雨「ARIA2」との違いや使用感を詳しくレビューします。
パッケージ

パッケージはシンプルなデザインです。
「QUE」で描かれていたカササギは、飛び立ったようです。


化粧箱も同じくシンプルで高級感があります。


箱の中にはイヤホン本体が収められ、イヤホンケースなどのアクセサリーも収納されていました。
アクセサリー

セット内容
- イヤホンケース
- イヤーピース(白濁色):S/M/Lサイズ
- イヤーピース(黒色・バランスタイプ):S/M/Lサイズ
- イヤーピース(黒色):S/M/Lサイズ
- プラグ着脱式ケーブル(0.78mm 2Pinコネクタ):3.5mmプラグ、4.4mmプラグ
- 説明書など
付属のケーブルは、銀メッキされたOFC(無酸素銅)を採用しています。
また、4.4mm5極バランス用プラグと3.5mm3極アンバランス用プラグを交換して使用できます。
イヤホン
ビルド


フェイスプレートには、「QUE」の代名詞ともいえるウッドパネルが採用されています。
木材にはグリーンサンダルウッドを使用しており、深みのある色合いが特徴です。
金属製のシェルと組み合わせることで、高級感のあるデザインと耐久性の高さを兼ね備えています
2Pinソケットはやや奥まっていますが、フラットタイプのコネクタでも問題なく使用できます。


ステムの直径は6.2mmと平均的で、重量は9.8gと金属筐体のイヤホンとしても平均的です。
装着感は良好で、耳全体に自然に収まります。
長時間の使用でも、耳が痛くなることはありませんでした。
ドライバーユニット

公式の情報を簡単にまとめてみました。
「QUE-UTG」に採用されている10mmの平板ガラス振動板は、従来の素材を超える高い剛性により、分割振動や歪みを効果的に抑制しています。
超薄型かつ軽量な設計で、高速なレスポンスと豊かなダイナミックレンジを実現。
さらに低減衰特性により、信号を正確に再現し、音の色付けを最小限に抑えているとのことです。
PUサスペンションエッジは低音域に深みと力強さを加え、迫力のある響きを生み出します。
中音域ではガラスの硬質感を和らげ、人の声をまろやかで自然に描写。
剛性と柔軟性を融合させた構造により、高忠実度かつ心地よいリスニング体験が楽しめるとされています。
周波数特性

(※クリック・タップで拡大できます)
音質
使用環境


アンプ | TOPPING L30 |
DAC | TOPPING E30 |
ケーブル | 付属ケーブル |
イヤーピース | 付属イヤーピース(白濁色) |
エージング | 30時間 |
音質評価

綺麗なクリーンサウンドという印象を受けました。
モニター寄りの音質ではあるものの、音のあたりは柔らかく、「QUE」らしさをしっかり感じられます。
高音域:濁りのない透明感のある音質
ディテールが明確で、やや硬めの音色です。
ピーキーさは感じられず、透き通った空気感が心地よく広がります。
この高音域の表現力こそが「QUE-UTG」の真骨頂だと感じます。
中音域:優しいモニターサウンド
硬めの音ではあるものの、前述のように音の当たりは柔らかく、まろやかに聴こえます。
音の厚みもしっかりと保たれています。
それでいて分離感も優れているため、他の音に邪魔されることなく一音一音をはっきりと聴き取れます。
低音域:中~高音域を引き立てる低音
迫力は控えめで、特に重低音の圧はあまり感じません。
とはいえ不足することはなく、必要十分な量感で楽曲全体をしっかり支えています。
定位・音場
音場は普通からやや広めで、定位感も特に問題はありません。
まとめ
澄んだクリアな音質で、透明な空気感を味わえます。
中~高音域はモニター寄りでやや硬めです。
音の輪郭は「QUE」らしい柔らかくて優しい音の当たりが同時に感じられます。
これは、なかなかない個性で、素晴らしい仕上がりだと感じました。
ボーカルも優秀で、繊細なニュアンスまでしっかりと表現してくれます。
中~高音域を引き立てる低音域なので、ボーカルが埋もれることはありません。
苦手なジャンルは特にありませんが、低音をドカドカと鳴らす激しい楽曲は、別のイヤホンで聴いたほうが楽しめるでしょう。
イヤーピース・ケーブル・アンプ
インピーダンス | 32Ω |
感度 | 103±3dB |
周波数帯域 | 20Hz – 20kHz |
「QUE-UTG」はスマートフォンでも駆動可能ですが、そのままでは音がスカスカな印象になります。
特に低音域の力強さが欠ける傾向にあります。
ドングルDACでもいいので、アンプを使用して「QUE-UTG」のポテンシャルをしっかり引き出すことをおススメします。
イヤーピースやケーブルを交換する場合は、できるだけ味付けの少ないものを選びたいところです。
イヤーピースは音質の変化よりも、耳へのフィット感を優先して選ぶのがおススメです。
ケーブルについては、付属品と同様にOFC線材を使用し、モニター寄りのサウンド傾向を持つものが相性が良いと思います。
比較
今回は、有線イヤホン「SIVGA QUE-UTG」を、同シリーズのおすすめモデル「SIVGA QUE」と、同価格帯の人気1DDイヤホン「MOONDROP Aria 2」と比較レビューします。
SIVGA QUE
イヤホンの形状はほぼ同じで、「QUE」をお持ちの方は装着感は同じと思って大丈夫です。
音質については、「QUE-UTG」は「QUE」の後継機ではなく、あくまで別バージョンと考えください。
高音域は「QUE-UTG」のほうが力強く、キラキラと煌めいています。
中音域は「QUE」が厚みがあり、低音域も力強く押し出してきます。
ボーカル表現はどちらも得意です。
以前のレビューでは、「QUE」は暖色系ながらも音がぼやけず、解像感がしっかり保たれていると評価しました。
「QUE-UTG」は寒色寄りのモニターサウンドでありながら、ほんのりとした暖かみも感じられます。
どちらも音の当たりは柔らかく、全体的に優しい音色だと感じます。
SIVGAが両モデルをうまく対比させている点は見事です。
- スッキリしつつ暖かみのあるモニターサウンド → QUE-UTG
- 暖色系でありながら解像感を保つサウンド → QUE
両モデルのキャラクターが明確に分かれているので、好みに合わせて選ぶのがおすすめです。
SIVGA QUEの詳しいレビューはこちらから。
MOONDROP Aria 2
同じ1DD構成・同価格帯の金属筐体イヤホンとして「MOONDROP Aria 2」を選びましたが、音質傾向はどちらかと言うと「QUE」に近い印象です。
高音域は両モデルほぼ同等ですが、中低音域は「Aria 2」のほうが厚みがあり、どっしりとした重みを感じます。
また、高音域は硬めの印象で、低音域に向かうにつれて徐々に柔らかくなっていく傾向です。
「Aria 2」は特定の音域が少し主張しすぎて、音がぶつかり合う印象を受けることがあります。
対して「QUE-UTG」は全体的にスッキリとしており、音の間に十分なスペースが確保されている印象です。
聞き比べると、「QUE-UTG」は音に余裕と透明感が感じられ、全体のバランスも良く仕上がっています。
この点が、両モデルの大きな違いだと感じました。
項目 | QUE-UTG | QUE | MOONDROP Aria 2 |
---|---|---|---|
ドライバー | 平板ガラス振動板 | ベリリウムコート振動板 | セラミックコーティング複合振動板 |
シェル/FP | 金属/ウッド | 金属/ウッド | 金属/金属 |
音質傾向 | モニター寄り+ほんのり暖かみ | 暖色系+解像感あり | 暖色系寄り+中低音厚め |
高音域 | 明瞭・煌めきあり | 柔らかめ・落ち着いた印象 | 硬め・低音に向かって柔らかくなる |
中音域 | 柔らか・まろやか・分離感良 | 厚みあり・温かみあり | 厚みあり・やや主張が強い |
低音域 | 控えめ・中高音を引き立てる | 押し出ししっかり・柔らかい | 重みあり・楽曲をしっかり支える |
ボーカル | 繊細なニュアンス表現 | 得意、温かみあり | 良いがやや低音に埋もれることも |
音場 | 普通~やや広め | やや広め | 普通 |
装着感 | 平均的、耳全体にフィット | QUE-UTGと同じ | 良い、耳全体にフィット |
重量(片側) | 9.8g | 10.2g | 11.4g |
eイヤホン価格 | 15,980円 | 12,980円 | 15,300円 |
総評
一通りレビューを書き終えて改めて聴き直しましたが、とても良いイヤホンです。
昨年末に「QUE」を聴いて素晴らしい仕上がりだと感じましたが、「QUE-UTG」はそれと同等か、それ以上に高い完成度だと思います。
- クリアでモニターライクなサウンドが好きだけれど、単調すぎず暖かみや柔らかさも求める方
- 寒色系の透明感ある音質が好きだけれど、それだけだと冷たく感じてしまう方
- ボーカルの繊細なニュアンスや中高音の表現力を重視する方
- 聴き心地の良く解像度の高いイヤホンが欲しい方
「QUE-UTG」の平板ガラス振動板とウッドパネルは、硬さと柔らかさを兼ね備えた音質を実現していて、あまり他にはない音質となっています。
ぜひ一度聴いてみることをおススメします。
販売情報
「QUE-UTG」は、Amazonにて販売中です。
今回比較した兄弟機 「QUE」 も、Amazonにて販売中です。

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