HIDIZSは新作有線イヤホン「MK10」を発売しました。
鏡面仕上げの美しいイヤホンで、ダイナミックドライバーには10mmの炭化ケイ素結晶ダイヤフラムを搭載し、明るく元気なサウンドが特徴です。
Amazonでの価格は約1万円。
この記事では「MK10」を詳しくレビューし、上位モデル「MK12」や同価格帯の「MOONDROP Aria 2」と音質・装着感・周波数特性の比較をします。
パッケージ

黒地にイヤホンのみが描かれたシンプルなデザインですが、落ち着いた印象で高級感があります。


箱を開けると、イヤホン本体が丁寧に収められています。
底部にはイヤーピースなどのアクセサリーが同梱されています。
アクセサリー

セット内容
- イヤホンケース
- イヤーピース(白濁色):S/M/Lサイズ
- イヤーピース(黒色):S/M/Lサイズ
- ケーブル(0.78mm 2Pinコネクタ):4.4mmプラグ
- 交換式チューニングノズル ×2種(本体装着分を含め計3種類)
- 説明書など
付属のケーブルはOFCシルバーメッキ仕様で、購入時に3.5mmまたは4.4mmプラグを選択できます。
チューニングノズルとイヤーピースを組み合わせることで、最大6通りのサウンドを楽しむことが可能です。
イヤホン
ビルド


筐体素材には亜鉛合金が使われており、鏡面仕上げでピカピカに輝いています。
美しい反面、傷がつきやすいため取り扱いには注意が必要です。
可能であれば、購入後すぐにコーティング処理を施すと安心でしょう。
ビルドクオリティは高く、完成度の高い筐体に仕上がっています。


ノズル径は5.9mmと平均的で、重量は片側13.7gとかなり重めです。
金属筐体イヤホンの中でも重量級に入りますが、装着時のフィット感がしっかりしているため、重さが致命的な欠点になることはありません。
さすがに装着すると重みは感じますが、長時間使っても疲れにくく、耳に痛みが出ることはありませんでした。
ドライバーユニット


公式情報によると、MK10は10mmデュアルマグネティック回路+デュアルキャビティ構造のダイナミックドライバーを搭載しているとのことです。
強力なN52磁石を用いたデュアルマグネット設計により、振動板の駆動精度が高まり、レスポンスの速さと深い低音を実現。
さらにデュアルキャビティ構造が不要な共振を抑え、より自然で歪みの少ないサウンドになるとされています。
振動板には炭化ケイ素結晶ダイヤフラムを採用。
軽量かつ高剛性の素材によって、高域はクリアで伸び、中域は滑らかで自然、低域は力強く迫力のある仕上がりになっているとのことです。
周波数特性
(※クリック・タップで拡大できます)
フィルター構造が異なるノズルに交換することで、音質が変化します。
特性表を見る限り、中高音域に影響が出るようです。
イヤーピースも含めて、綿密にセッティングする必要がありそうです。
音質
使用環境


アンプ | TOPPING A30 Pro |
DAC | TOPPING E30 |
ケーブル | 付属ケーブル |
イヤーピース | 付属イヤーピース(白濁色) |
チューニングノズル | バランスタイプ |
エージング | 30時間 |
音質評価

中高音域は元気に響き、低音域はグッと持ち上げられたチューニングです。
軽快が心地よく、楽曲を楽しく聴けるサウンドという印象です。
高音域:明るく細部まで聴き取れる高解像度
高音域は少しザラつきがあり、突出したシャープさは控えめです。
明るい音質ですが、激しさはなく聴きやすい。
解像度が高く、情報量の多い楽曲でも細部までしっかりと表現されます。
中音域:分離感に優れたクリアな表現
中音域は音の分離が明確で、金属筐体らしく輪郭をしっかりと捉えます。
厚みのある音には、パンチが効いていて、軽快でダイナミクス感も感じられます。
音のこもりや曇りが一切なく、ストレートに響きます。
低音域:柔らかくもキレのある低音
柔らかめの音質ですが、余韻は控えめで音のキレを感じます。
サブベースもしっかりと強調され、楽曲の土台を面で支えるような迫力です。
低音が主体の楽曲でも、余裕を感じさせる鳴り方をしています。
定位・音場
定位は問題なく、各パートの位置を正確に聴き取れます。
音場は広めで、立体的に響き渡ります。
まとめ
解像度が高く、一音一音をハッキリと捉えられ、明るく軽快な印象。
豊かな低音域で、ハーマン2019ターゲットに準拠したチューニングにより、クセのない聴きやすいサウンドに仕上がっています。
どの音楽ジャンルでもそつなくこなしますが、個人的にはロックとの相性が良いと感じました。
ボーカルは自然で美しく、特に女性ボーカルは聴き取りやすく繊細。
エージングにより音が明るく、表情豊かになった印象もあります。
しっかり慣らし上げて、じっくり聴いてみてください。
イヤーピース・ケーブル・アンプ
インピーダンス | 32Ω |
感度 | 113dB |
周波数帯域 | 20Hz – 40kHz |
スマホの直挿しでも十分に鳴らすことができます。
ただし低音域は迫力に欠けるため、安価なスティック型(ドングル)DACなでもいいので併用すると、力強い低音が楽しめます。
付属のケーブルでも十分ですが、リケーブルする場合はモニター寄りの音質にすると印象が良くなりました。
装着感も良いため、イヤーピースは音質を意識して選んでも問題ありません。
比較
今回は「HIDIZS MK10」を、上位モデルの「HIDIZS MK12」と、同じ価格帯の1DDイヤホン「MoonDrop Aria 2」と比較します。
HIDIZS MK12
装着感
「MK12」はサイズが大きめで、対する「MK10」は4g重く、どちらも短所があります。
しかし、実際に装着すると、どちらも耳にフィットします。
「MK10」は重さによる違和感がほとんどありませんが、「MK12」は耳に違和感が残ります。
個人的には、装着感に関しては「MK10」に軍配を上げます。
音質
「MK12」は今年の6月にレビューしたHIDIZSのイヤホンです。
どちらもHarman2019に準拠したモデルですが、両モデルには約3万円の価格差があります。
同じ音質傾向を持つモデルで、なぜ価格差が生まれるのか──
その違いを明らかにするため、両モデルを聴き比べてみました。
実際に「MK10」と「MK12」を聴き比べると、それぞれの個性が明確に表れます。
まず「MK10」は、高音域が強調され、全体的に明るいサウンドが特徴です。
低音はサブベースから力強く押し上げられ、中音域もクッキリとしたメリハリを感じさせます。
ボーカルは前に出てきてハッキリと聴き取れます。
楽曲に勢いと明瞭さをもたらしますが、じっくり聴き込むと音の粗さが目立ちます。
一方の「MK12」は、高音域は落ち着いていますが、滑らかで粗さのない音で素晴らしい。
低音は派手ではないものの、楽曲全体をしっかりと支える安定感があります。
中音域はバランス良く自然で、ボーカルも楽曲の一部として馴染み、全体の調和を感じさせます。
特筆すべきは「MK12」の圧倒的なサウンドステージの広さと定位の正確さです。
オーケストラのような広がりは、さながらスピーカーのようです。
柔らかく優しい音でありながら解像度も高く、音が滲んだり潰れたりすることはありません。
両モデルを交互に聴き込むと、確かに価格差が音に反映されていると感じました。
それでも「MK10」は1万円クラスのイヤホンとして完成度が高く、明るく力強いサウンドは価格以上の満足感が間違いなくあります。
MoonDrop Aria 2
装着感
「MK10」と比べると2g軽く、シェルも薄いため耳にしっかりフィットします。
今回の比較モデルの中では、装着感が一番良いです。
音質
「Aria 2」は全体的に繊細で大人しい高音域が特徴です。
中音域もバランスが良く情報量が豊富で、楽曲の表現力も十分です。
低音域はサブベースの過度な主張がなく、ボーカルは豊かで聴き取りやすい印象です。
ただし、「MK10」と比べると音場は狭まった印象で、少し窮屈に感じます。
どちらも1万円前後のクラスとしては優れたモデルであることに違いはありませんが、音の系統的に「Aria 2」は先ほど比較した「MK12」の下位モデルという印象を受けました。
項目 | HIDIZS MK10 | HIDIZS MK12 | MoonDrop Aria 2 |
---|---|---|---|
ドライバー | 1DD 10mm | 1DD 12mm | 1DD 10mm |
シェル/FP | 金属/金属 | 金属/金属 | 金属/金属 |
音質傾向 | 明るく力強い、メリハリ重視 | 滑らかでバランス重視、解像度高い | 繊細で大人しく、バランス重視 |
高音域 | 強調され明るめ、やや粗さあり | 落ち着いて滑らか、粗さなし | 繊細で透明感あり |
中音域 | クッキリとメリハリ、前に出る | バランス良く自然、楽曲に馴染む | バランス良く自然 |
低音域 | サブベースから力強く押し上げる | 派手ではないが楽曲を面で支える安定感 | 過度な主張はなく控えめ |
ボーカル | 前に出てハッキリ、聴き取りやすい | 自然で楽曲に馴染む | 表現豊かで聴き取りやすい |
音場 | ★★★ | ★★★★★ | ★★ |
装着感 | ★★★ | ★★ | ★★★★ |
重量(片側) | 13.7g | 9.8g | 11.4g |
Amazon価格 | 10,999円 | 29,999円 | 15,300円 |
「MK12」はさすがに価格差を反映した音質差を感じました。
元気でパンチのある「MK10」と、大人しく繊細な「Aria 2」は、それぞれ異なるキャラクターですが、どちらも優秀なイヤホンだと思います。
総評
鏡面仕上げの美しい筐体を持つ「HIDIZS MK10」は、解像度の高い明るい音質で、一音一音をハッキリと捉えることができます。
元気でパンチのあるサウンドにより、楽曲を存分に楽しむことができるイヤホンです。
1万円前後で購入できるモデルとしても非常に優秀で、おすすめできる仕上がりとなっています。
以下のような方には特におすすめです:
- 美しくデザインされたイヤホンを探している方
- 明るくメリハリのある音を楽しみたい方
- ロックやポップスなど、幅広いジャンルをそつなく聴きたい方
- 1万円位の音質が良いイヤホンを探している方
販売情報
「HIDIZS MK10 ArcSonics」は、Amazonと公式サイトにて販売中です。
本体カラーはシルバーとブラックの2色、プラグは3.5mmまたは4.4mmから選択可能です。
現在、新製品の限定フラッシュセールも開催中です。
HIDIZS公式では59.00ドル、Amazonでは9,899円で販売されています。

コメント