TINHiFiから発売された新作イヤホンのC1は、約4200円という価格で、DLCダイアフラムを採用した本格的な有線イヤホンのエントリーモデルです。
TINHiFiらしいウォーム系サウンドをしっかりと継承しつつ、聴き疲れしにくいナチュラルサウンドで、音の広がりを感じられます。
今回は、C1を実際に使用し、同ブランドのイヤホンや同価格帯のモデルと比較しながら、詳しくレビューしていきます。
パッケージ

パッケージはコンパクトで、白を基調とした清楚なデザイン。
正面にはイヤホンの写真だけ写されており、シンプルながらも高級感のある仕上がりです。


パッケージ裏は、DLCダイアフラムを使用していることが強調されています。
化粧箱は白を基調に、ブランド名とロゴのみが描かれています。


箱を開けると、イヤホン本体が丁寧に収められており、底には付属のアクセサリーが収納されています。
エントリーモデルですが、高級のあるパッケージングです。
アクセサリー

セット内容
- イヤーピース:S/M/Lサイズ ※Mサイズはイヤホン本体に装着済み
- ケーブル:3.5mm3極L字プラグ、0.75mmQDCタイプコネクタ
- 説明書
ケーブルのコネクタは、TINHiFiとしては珍しくQDCタイプが採用されています。
ただし、匂いが強かったため、付属ケーブルは使用しません。
イヤホン
ビルド


ブランドロゴのみがデザインされたシンプルなフェイスプレートには、アルミニウム合金パネルが採用されています。
樹脂製のシェルは小ぶりで、重量は約4.7gと平均的。
ビルドクオリティも高く、この価格帯でもしっかりとした作りです。


ダストフィルターはアルミなどの金属メッシュが使われていません。
ノズル径は約5.8mmと平均的で、イヤーピースの装着に困ることはありません。
密閉度が高く、耳にしっかりフィットします。
装着感も良いので、長時間の使用でも耳が痛くなることはありませんでした。
ドライバーユニット

TINHIFI C1は、高級イヤホンに使われる10mm DLCダイアフラムとデュアル磁気回路を採用し、クリアで深みのあるサウンドをエントリークラスで実現。
精密なチューニングポートにより低音の迫力と音のバランスを両立し、音楽やゲームで高品質な音が楽しめるとのことです。
使用環境


- アンプ :TOPPING L30
- DAC :TOPPING E30
- ケーブル :BIGMANGO Zebra
- イヤーピース :付属イヤーピース
- エージング時間:30時間
周波数特性

音質評価

- TINHiFiらしい若干低音域寄りのウォーム系のサウンド。
- かなり聴きやすいクセのないサウンド。
高音域
- 優しく、柔らかい音質。
- 低音寄りのチューニングでありながら、高音は埋もれることなく分離感が保たれている。
- 刺さりやシャリつきはなく、長時間のリスニングでも聴き疲れとは無縁。
中音域
- 滑らかな音質。
- 中音域もしっかりと前に出ており、全体のバランスが良い。
- 若干、解像度に物足りなさを感じるものの、ウォーム系の音作りと捉えれば妥当な範囲。
低音域
- 低音は十分に沈み込み、迫力も感じられる。
- 特にミッドベースが強調されており、楽曲に力強さを与えている。
- 残響のある音作りによって、厚みのある低音を表現。
定位・音場
- 音場は広く、上下方向の広がりが印象的で、この広がりこそがC1の最大の特徴。
- 定位感も良く、広い音場でも左右正確に位置しています。
まとめ
ボーカルの質には驚きました。
女性ボーカルにフォーカスされており、倍音も美しく、表現力豊かに歌い上げます。
逆に、男性ボーカルは低音域と重なってしまい、やや埋もれがちな印象です。
苦手なジャンルは特に見当たらず、音数の多い楽曲でも音が潰れることなく、しっかりと鳴らし上げてくれます。
HIPHOPやテクノといった重低音が前に出る楽曲でも、問題なく対応可能です。
また、ジャズなどのインストも得意で、生楽器の質感がリアルに伝わり、エントリークラスとは思えない実力を垣間見せます。
イヤーピース・ケーブル・アンプ
インピーダンス | 32Ω±15% |
感度 | 106dB±3dB |
周波数帯域 | 10Hz – 20kHz |
スマホの直挿しでも駆動は可能ですが、音量を上げる必要があります。
Xperiaでは、音量を8割ほどに設定する必要がありました。
ドングルDACなどのアンプを使用するのが現実的かと思います。
ケーブルは匂いが強かったので使いませんでしたが、これは個体差かもしれません。多分…。
ですが、音質面から見てもリケーブルは必要かと思います。
純度の高い線材を使用したケーブルに交換することで、音の解像度向上を狙いたいと思いました。
イヤーピースは色々試しましたが、SednaEarfit MAXとの相性が非常に良く、C1には間違いないと思います。
比較
今回は、「C1」、TINHiFi「C3MKII」、そしてMOONDROP 「CHU2」の3モデルを比較します。


モデル | ドライバー構成 | FP・シェル材質 | ソケット | 価格 |
TINHIFI C3 MKII | 1DD|10mm LCP | FP:樹脂|シェル:樹脂 | 0.78mm2Pin | 約5700円 |
TINHIFI C1 | 1DD|10mm DCP | FP:金属|シェル:樹脂 | 0.75mmQDC(KZ) | 約4200円 |
MOONDROP CHU2 | 1DD|Al-Mg合金 | FP:金属|シェル:金属 | 0.78mm2Pin | 約4900円 |
イヤホンの形状は大きく異なります。
C3 MKIIは最もベーシックな形状で、耳へのフィット感が優れています。
CHU2は最もコンパクトな筐体で、耳への収まりが良く、装着時の存在感が少ないのが特徴です。
C1の装着感も良く問題はありませんが、装着感に関してはC3 MKIIとCHU2のほうが優れている印象です。
仕様面での主な違いとしては、筐体の材質や、振動板の素材になります。
CHU2に関しては振動板のサイズが公表されていませんが、他のモデルと同様に10mmである可能性が高いです。
また、ソケットはC1だけQDCタイプが採用されています。
価格面で大きな差はないものの、おおまかに分けると、C1とCHU2は〜5,000円の価格帯、C3 MKIIは5,000〜10,000円の価格帯に位置しています。
TINHIFI C3 MKII

- C1は音抜けの良さが感じられ、同じウォーム系だが明るい音の印象。
- 素材の違いによる影響か、音に硬さがあり、中低音域は締まりがある。
- C3 MKIIは全体的に音の厚みがやや不足しているように感じる。
- C3 MKIIに対して、C1はボーカルが一歩前に出て、より近くに感じられる。
率直に言えば、C3 MKIIはC1に完全に食われてしまった印象です。
もちろん、周波数特性を見れば両モデルに違いがあるので、好みによる部分はあると思います。
しかし「音の質」という観点で見れば、C1は間違いなく同等かそれ以上の実力を持っており、そこに価格差=音質差と感じられません。
MOONDROP CHU2

- 聴き比べても、周波数特性グラフ通りの傾向で、実際の差はほとんど感じられない。
- C1はやや元気のある音であり、CHU2は滑らかで落ち着いた印象。
- 女性ボーカルはC1のほうが鮮明で、美しく聴こえる。
- 音場の広さに関しては、C1が優れており、より開放的に感じられる。
両モデルの音質には大きな違いはなく、非常に近い傾向のイヤホンだと感じました。
聴き比べることで、細かな音色や音場の違いを把握することができます。
C1とCHU2のどちらかを選ぶとすれば、水月雨ファンである私ですが、今回はC1をおススメします。
とはいえ、CHU2の発売は2023年7月で、そろそろ2年が経過しようとしています。
そう考えると、技術的な進歩があってもよいように思いますが、実際の音質差はわずかです。
5,000円以下のウォーム系イヤホンは、技術的にすでに頭打ちとなっており、音質の向上は難しいのではないかと感じています。
総評
大きな弱点は特に感じられません。
もちろん、男性ボーカルや中音域の解像度などに若干の物足りなさはありますが、それ以上を求めるのであれば、1〜3万円クラスのイヤホンを選ぶ必要があります。
音場の広さと、その中で正確に音像を定位できるバランス。
高音域の分離感、女性ボーカルの表現力、低音の迫力といった要素も高水準でまとまっており、聴き疲れしにくいクセのないチューニングです。
5000円以下のウォーム系イヤホンの中では、間違いなくトップ3に入る実力だと思います。
C1とドングルDACの組み合わせは、有線イヤホン初心者が音質の基準を作るのに最適な導入となるはずです。
ここから「もっとキラキラした音が欲しい」「BAや平面駆動型を聴いてみたい」「他の有名ブランドも試してみたい」「1〜3万円クラスのイヤホンも手にしてみたい」といったように、次のステップへと興味が広がっていくことでしょう。
TINHiFi C1は、有線イヤホンの入門機として最適な一本であり、是非試してほしいエントリーモデルです。
販売情報
TINHiFi C1は、AliExpressにて約4,200円で購入可能です。
今回は特別に、GoodSound Audio Storeより8ドルオフのクーポンコードをご提供いただきました。
クーポンコード:「XT0IPSGH0TT9」 を入力することで、割引が適用されます。
さらにコイン割引を併用することで、実質約2,800円での購入も可能です。
C1が気になった方は、この機会にぜひチェックしてみてください。

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