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KZ有線イヤホンレビュー

KZ『Zenith』レビュー。新ドライバーと開放型イヤホンが描く新時代の音。

KZの新作有線イヤホン「Zenith」は、ボイスコイル径やマグネットサイズなどが新しくなったドライバーユニット「Driver X」を搭載した1DDイヤホンです。
価格は約1万円。
この記事では、KZの12周年記念特別モデルでもある「Zenith」をじっくりと聴き込み、同価格帯の1DDイヤホンとの比較も交えながら詳しくレビューしていきます。

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パッケージ

パッケージは「Sonata」と同じサイズと基本デザインで、黒を基調とした背景にイヤホンが大きく描かれており、高級感があります。

化粧箱も「Sonata」と同様で、エントリークラスのイヤホンとは異なる上質なデザインになっています。

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アクセサリー

セット内容

  1. イヤホンケース
  2. イヤーピース:シリコンタイプ S/M/Lサイズ
  3. イヤーピース:フォームタイプ S/M/Lサイズ ※ほかにMサイズが装着済み
  4. ケーブル:銀メッキフラットケーブル 3.5mm3極L字プラグ、0.75mmQDCタイプコネクタ
  5. 説明書等

イヤホン

ビルド

フェイスプレートは開放型デザインを採用しており、高級感あふれる深みのある色合いと美しい輝きが特徴です。
デザイン性も高く、見た瞬間に「カッコいい」と思いました。
筐体はダイカスト製法で製造され、丁寧に何度も研磨された後、2層のメッキ処理が施されています。
ビルドクオリティが非常に高く、細部にまでこだわりが感じられる素晴らしい完成度です。
ただし、片側12.2gと金属製イヤホンの中ではやや重めです。

ノズル口径は5.8mmと標準的なサイズです。
チューニングスイッチが搭載されており、音質の調整が可能です。
イヤホンにある程度の厚みと重さがあり、装着感に不安がありましたが、問題なく耳にフィットしました。
開放型のため、重さの比重が耳側に寄っているので、重さで耳から外れるということはありません。
また、長時間装着しても、耳に疲れや痛みは出ませんでした。

スペック

ダイナミックドライバー「Driver X」

ボイスコイル径を拡大することで、広いサウンドステージと豊かな高域のディテールを実現するとともに、総合的な性能が大幅に向上。
さらに、「Zenith」は従来のマグネットサイズに比べ、体積の大きなネオジウムマグネットを採用しており、より強力な過渡応答と長い低音ストロークを可能にしているとのことです。

スイッチ・周波数特性

Zenithに搭載されたチューニングスイッチを使用すれば、音質の変化を楽しめます。
周波数特性を確認すると、主に低音域に変化が見られるようですね。

仕様
ドライバー 10mm Dynamic Driver
インピーダンス 41Ω
感度 128dB±2dB
周波数帯域 20Hz – 40kHz

サウンド

使用環境

  1. アンプ   :TOPPING L30
  2. DAC     :TOPPING E30
  3. ケーブル  :付属ケーブル
  4. イヤーピース:付属イヤーピース(シリコンタイプ)
  5. エージング :30時間
  6. スイッチ  :全てOFF(Basic Curve)

音質

どうしちまったんだい、KZの音作りは…!
第一印象は広い音場にハーマンターゲットカーブに沿ったようなサウンド。
万人受けを狙った…いわば正統派サウンドでした。
そこにKZらしいドンシャリサウンドはありません。

高音域

高音域はクセがなく、伸びのあるクリアな音質です。
繊細さには欠けるものの、音のディティールは明確で、力強いダイナミックさを感じさせます。
もしこれが「Driver X」の持ち味だとすれば、優れたドライバーを開発したと言えるでしょう。
また、シャリつきは感じられないものの、明瞭度は十分に保たれて、見通しが良いです。
これ以上明瞭度を上げるとギラつきが強くなり、耳に負担がかかって長時間のリスニングが難しくなります。

中音域

中音域は、スコンと跳ね上がるような抜けの良さが特徴です。
音にはしっかりとした厚みがありながらも、滲むことがなく、十分な解像度を感じます。
さらに、1DDのフルレンジ特性により、高音域から低音域までスムーズに繋がっています。
筆者はこの中音域を気に入っている一方で、KZのらしくない音作りだと感じています。

ボーカルはしっかりと前に出てきます。
以前のKZサウンドでは、低音域にボーカルが埋もれがちでしたが、「Zenith」はボーカルに十分な空間が確保されています。
また、男女問わず歌声は上手で、表現力に優れ、しっかりと存在感を放っています。

低音域

低音域はミッドベースが主体で、力強い押し出し感があり、迫力は十分です。
余韻は控えめでキレが良く、テンポの速い楽曲でも遅れることなく追随します。
サブベースもしっかりと表現されているが、ブーミー感はなく、低音域の情報量がしっかりと保たれています。
なお、このサブベースをさらに強調したい場合は、スイッチで調整することをおススメします。

定位・音場

拡大されたボイスコイルの影響か、音場は広い。
さらに、開放型という構造も相まって、音の広がりがしっかりと感じます。
それでも定位感は非常に明確で、曖昧になることがない点が優秀です。
ボーカルは頭の中心にしっかりと定位し、伴奏は広がりを見せ、立体感のある音が楽しめます。


Zenithは、どのジャンルの楽曲にもマッチすると思います。
さまざまな楽曲を聴きましたが、特にジャズやR&Bとの相性が良いと感じました。
また、抜けの良いスネアの響きが非常に心地よいです。

イヤーピース・ケーブル・アンプ

スマホの直挿しで鳴らすことはできますが、鳴らしにくいイヤホンです。
アンプに接続して使用することをおススメします。
できればポータブルアンプ以上の出力が望ましいです。
また、イヤーピースの交換とリケーブルは必須です。
Zenithのノズルは太くないため、装着感が大きく変わることはなく、好みのイヤーピースに交換できます。
リケーブルには、高純度銅の線材が採用されたケーブルを使用し、解像度を向上させたいです。

比較

同じ1DD構造で金属製シェルを採用し、価格帯も近い「水月雨 ARIA2」や「SIVGA Que」あたりが競合モデルになると思います。
ここでは、測定した周波数特性と実際の聴き比べを通じて、それぞれの違いを比較していきます。

モデル ブランド ダイナミックドライバー 対応コネクタ 重さ Amazon価格
Zenith KZ 10mm「Driver X」 0.75mmQDC 12.2g ¥9,900
ARIA2 水月雨 10mm-セラミック 0.78mm2Pin 11.4g ¥15,300
Que SIVGA 10mm-ベリリウムコート 0.78mm2Pin 10.2g ¥12,980
MOONDROP ARIA2

両モデルの周波数特性は非常に近い結果となり驚きました。
ただし、聴き比べると違いは確実にあります。
最初に感じた違いは音場で、Zenithに音の広がりを感じました。
また、音抜けが良く、音にやぼったさがなくシャープさが際立っています。
これは「Driver X」の特性を抜きにしても、開放型の構造上の影響によるもので、当然の違いと言えるでしょう。

さらに、Zenithはアタック感が強く、音の強弱が明確に伝わってきます。
対してARIA2は音にまとまりがあり、滑らかで柔らかい印象です。

筆者は、音質に優劣はないと感じました。
少なくとも開放型と密閉型の違いがあるので、そこの好みによって評価が変わるでしょう。
そうなると注目すべきは価格です。
ARIA2に対して2/3の価格であるZenithは、コストパフォーマンスに優れていると言えます。

SIVGA Que

音場はQueも十分に広いですが、Zenithの方がやや広く感じます。
特に、音の奥行きをしっかりと感じることができました。

Queは、ふっくらと豊かな低音域が特徴で、中音域は厚みがあり柔らかい印象を与えます。
高音域は力強さを感じさせ、全体的にバランスの取れたサウンドです。
一方、Zenithは、低音域がずしりと重くキレがあり、しっかりとした存在感があります。
中音域はスッキリとしており、明瞭な印象を受けます。
高音域は伸びがあり、クリアな響きが特徴です。

また、Queが暖色系の暖かい音であるのに対し、Zenithは寒色系と暖色系の中間に位置しているように感じます。
どちらもチューニングが上手で、個性が出ていて、魅力があります。


共通して言えることは、装着感に関してはZenithが劣る点です。
重さというよりも形状、特に厚みがあるため、そこが不利になっています。
また、当たり前ですが、開放型ということもあり、音漏れします。

Zenithをはじめ、1万円台のイヤホンは質の高い製品が多く、さまざまな個性を持つものが揃っています。
選択肢が豊富で、イヤホン選びが楽しくなりますね。

総評

フェイスプレートに「New Era Tech Zenith」と記されている通り、新時代の技術「Driver X」を搭載したZenithは、これまでとは異なるチューニングが施されています。
きっと、KZの音に対するイメージが変わることでしょう。
他のモデルと比較しても、質が高く、コストパフォーマンスに優れていることが分かりました。
今後、この価格帯で有線イヤホンを購入する際は、間違いなく選択肢に入るイヤホンです。

販売情報

KZ Zenithは各サイトで約1万円で販売しています。

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