EarFunから発売されているワイヤレスイヤホン「Air Pro 4」をレビューしていきます。
約1万円という価格でありながら、ノイズキャンセリングや外音取り込み、防水機能など、普段使いで必要な機能が備わっています。
通信規格は最新のBluetooth 5.4を採用し、安定した接続を実現しています。
さらに、LDACといったオーディオコーデックにも対応しており、高音質で音楽を楽しみたいユーザーにとっても欲しい機能が詰め込まれています。
ただし、いくらカタログスペックがよくても、実際に使ってみると思っていたのと違ったり、肝心の音質が良くなければ何の意味もありません。
今回は、音質や使い勝手など製品のレビューはもちろん、有線イヤホンをメインにしているブランドのワイヤレスイヤホンの比較をしていきたいと思います。
パッケージ
パッケージは想像以上にしっかりとした作りでした。
デザインはシンプルながらも、イエローのアクセントが効いています。
パッケージの裏面には、製品の特徴が英語で詳しく記載されています。
開封すると、鮮やかなイエローのケースが目に入ります。
充電ケースは、しっかりと保護フィルムで覆われており、輸送中の傷つきをしっかりと防いでいます。
付属のアクセサリーが入った小箱も、黄色で統一されていて、開封していてとても楽しい。
原色が使われたポップなデザインは、新鮮でした。
また、パッケージのほとんどが紙製で構成されており、環境への配慮がうかがえます。
アクセサリー
セット内容
- 充電ケース
- USBケーブル
- イヤーピース:LL/L/M/S/XSサイズ ※Lサイズはイヤホン本体に装着済み
- 綿棒
- 説明書等
イヤーピースは5種類も付属していました。
また、「とりあえず付属しておいた」感はなく、材質も厚みがあり柔らかく、問題なく使用できると思います。
綿棒はノズルやイヤーピースの清掃用で、ここまで気が利くのか…と、感心します。
イヤホン・充電ケース
イヤホン本体、充電ケースを詳しく見ていきます。
イヤホン本体
Air Pro 4は、ワイヤレスイヤホンで一般的なショートスティック型を採用しています。
円形の部分はタッチセンサーになっており、楽曲などの操作が可能です。
イヤホン本体は、深みのある藍色に「EarFun」のロゴがあしらわれた落ち着いたデザインです。
内側は黒色で、左右の区別となるLR表記があります。
イヤホンはIPX5の防水性能を備えており、雨の日でも安心して使用できます。
重量は片側4.8gとワイヤレスイヤホンとしては一般的です。
また、10mmのダイナミックドライバーが採用されています。
ノズルは直径5.7mmの丸型で、有線イヤホンと変わらないサイズ感となっています。
装着感
装着すると、見た目や数値以上に軽くコンパクトに感じられ、長時間装着しても快適です。
丸型のノズルが影響しているのか、耳にしっかりとフィットし、運動中でも外れる心配することがなく音楽を楽しめます。
特に気に入ったのは、装着した状態でイヤホンに触れても、タッチセンサーに触れにくく、誤タッチが少ない点です。
充電ケース
充電ケースには、バッテリー残量が一目でわかるインジケーターが搭載されています。
重量は44.2gと、一般的な充電ケースとほぼ変わりません。
裏面には技適マークがしっかりと表示されており、安心して使用できます。
イヤホンは、ケース内にすっきりと収まるよう設計されています。
内部は広く、男性の大きな手でも楽にイヤホンを取り出すことができます。
赤色の保護シールが貼られた部分にマグネットがあり、ケースの開閉はスムーズに行えます。
ケース内部にはスイッチがあり、必要に応じて簡単にリセット操作を行うことができます。
また、内部にもLEDインジケーターが搭載され、ペアリングモードやリセットの状態を確認することができます。
SONY「WF-1000XM4」の充電ケースとほぼ同じサイズ感で、携帯性にも優れています。
ポケットやカバンに入れても邪魔になりません。
充電方法
充電は、背面にあるUSB Type-Cポートから行えます。
また、ワイヤレス充電にも対応しているため、非常に便利です。
イヤホン本体と充電ケースの作り込みは非常に良く、使い勝手も抜群で、ハードウェア面に関しては全く不満はありません。
スペック
連続再生時間 | イヤホン再生時間:11時間(ANCオフ) |
ケース併用:約52時間(ANCオフ) | |
Bluetoothバージョン | Bluetoothバージョン 5.4 |
対応コーデック | aptx Lossless/aptx Adaptive/LDAC/SBC/AAC |
Qualcommの最先端チップ「QCC3091」を採用し、Snapdragon Soundに対応しました。
S/N比が向上したことにより、クリアなサウンドが楽しめます。
また、Bluetooth 5.4に対応し、音声の遅延が減少し、低消費電力化と接続の安定性が向上しています。
さらに、LE audio、Auracastに対応し、高音質で新しいリスニングが可能になります。
LE audioにより、より広い周波数帯域で音楽を楽しめるようになり、Auracastでは、複数のデバイスで同時に同じオーディオコンテンツを共有できます。
ですが、対応したスマートフォンはまだ限られており、普及にはもう少し時間がかかりそうです。
使用方法
Google Fast Pair機能のおかげで、充電ケースを開けるだけで簡単にペアリングできます。
初回接続時には、専用アプリをインストールするか聞かれるので、指示に従えばスムーズに使用できます。
マルチポイント機能に対応しており、2つのデバイスに同時に接続できることを確認しました。
また、イヤホンを外すと自動で音楽が一時停止される未着検出機能も搭載されており、話しかけられたり、不意にイヤホンを外してしまう時に重宝しました。
タッチ操作
左イヤホン | 右イヤホン | |
---|---|---|
タップ | ボリュームダウン | ボリュームアップ |
2回タップ | 再生/一時停止 | |
3回タップ | 曲戻し | 曲送り |
2秒長押し |
ノイズキャンセリング/ 外音取り込みモード切替 |
アシスタントを起動 |
一般的なワイヤレスイヤホンと同様の操作性です。
リスニング
音質
- 使用デバイス:Google Pixel 7a
- 仕様アプリ :Amazon Music ※EQ未設定
- コーデック :LDAC(660kbps/606kbps)
- イヤーピース:付属品イヤーピース(Lサイズ)
- ノイズキャンセリング:ディープANCモード
太く力強い低音が特徴で、キレのあるサウンドが魅力です。
高音域は十分な解像度を感じられます。
ただし、中音域に膨らみがあり、音が籠もって抜けが悪い印象を受けました。
これは、イコライザー調整やイヤーピースの交換によって改善できる範囲だと思います。
音場は広さがなく、閉塞感が若干感じられます。
全体としては、パワフルな低音を軸とした、楽しく音楽に没入できる音質に仕上がっています。
機能
ノイズキャンセリング
EarFunのQuietSmart 3.0システムにより、ノイズキャンセリングは状況に合わせて複数のモードから選択できます。
無音になるような強力な効果はありませんでしたが、自然な効き具合で周囲の騒音を遮断できます。
外音取り込み
外音取り込み機能は、周囲の音をクリアに拾い非常に優秀ですが、ホワイトノイズが気になります。
これは、多くのワイヤレスイヤホンで起こる現象ですが、ノイズレベルが特に大きいです。
アプリで、外音取り込みの音量を2段階に調整できるため、ホワイトノイズと外音のバランスを調整することが可能です。
マイク
マイク性能は良好で、LINE通話テストでもクリアな音声が確認できました。
イヤホンには左右各3つのマイクが搭載されており、周囲のノイズを効果的にカットしているようです。
オンライン会議でも余裕で使え、マイク機能は相当良いと思います。
バッテリー
バッテリー持ちはメーカー公表値通りに再生することができました。
また、ANC使用時でも7.5時間の再生が可能です。
接続品質
接続品質は、LDAC接続時は初期に若干の不安定さが見られましたが、すぐに安定しました。
SBCやAACでは、移動中も安定した接続で、途切れることなく快適に使用できました。
アプリ
EarFunの専用アプリ「EarFun Audio」のアプリがとても完成度が高く、非常に良かったです。
アプリのUIは、豊富な設定項目があり、分かりにくい項目には、注意書きや説明が添えられています。
オーディオに不慣れなユーザーでも安心して操作できると思います。
イコライザーは約30種類のプリセットが実装されており、好みに合わせて選ぶことが可能です。
また、カスタムイコライザーは細かく設定することが可能で面白いです。
ノイズキャンセリングも様々なモードがありますが、好んで選んでいるのは、ノイキャン効果が高かった「ディープANCモード」です。
個人的にSONYのアプリ「Headphones」より使い勝手が良く、直感的に操作することができます。
遅延
Device / OS | TWS / Bluetooth | Mode | CODEC | 1st try | 2nd try |
---|---|---|---|---|---|
Google Pixel 7a / Android 14 |
Air Pro 4 / Bluetooth 5.4 |
ゲームモード | SBC | 178ms | 176ms |
AAC | 219ms | 214ms |
使用アプリ:Superpowered Mobile Audio Latency Test App
遅延を計測したところ、50ミリ秒を下回ることはありませんでした。
普段使いではほとんど気にならないレベルですが、音ゲーなど、タイミングが重要なゲームでは、この数値はだと少し厳しいと言えます。
また、Bluetooth 5.4対応のスマートフォンを使用すれば、測定結果が変わる可能性があります。
比較
機能
EarFun 「Air Pro 4」 | KZ「XTRA」 | 水月雨「夢回」 | |
---|---|---|---|
連続再生時間 | イヤホン:約11時間 | イヤホン:約8時間 | イヤホン:約6時間 |
ケース併用:約52時間 | ケース併用:約32時間 | ケース併用:約24時間 | |
ドライバー | 10mmダイナミック | 10mmダイナミック | 13mm平面駆動 |
Bluetoothバージョン | Bluetooth 5.4 | Bluetooth 5.4 | Bluetooth 5.3 |
LE Audio | 接続可能 | – | 接続可能 |
対応コーデック |
SBC/AAC/aptx Lossless/ aptx Adaptive/LDAC/ |
SBC/AAC/aptX/ aptX Adaptive |
SBC/AAC/LDAC |
ワイヤレス充電 | あり | – | – |
マルチポイント機能 | あり | あり | – |
防水性能 | IPX5 | – | – |
専用アプリ | あり | – | あり |
重量 | イヤホン片側4.8g | イヤホン片側5.6g | イヤホン片側4.5g |
ケース44.2g | ケース44.7g | ケース35.6g | |
価格 | 9,900円 | 9,900円 | 14,400円 |
3つのモデルを比較すると、機能面で大きな違いが見られます。
Air Pro 4は、ワイヤレス充電や防水性能、LE Audioや対応コーデックの幅広さなど、最新技術やユーザーが欲しい機能を積極的に取り入れています。
また、専用アプリの完成度も高く、イコライザー調整など、細かな設定が可能です。
これらの点から、機能面に関してAir Pro 4は、同価格帯のワイヤレスイヤホンの中では群を抜いています。
また、SONYなどのハイエンドモデルと比べても遜色のない、高いコストパフォーマンスを実現しています。
遅延
Device / OS | TWS / Bluetooth | Mode | CODEC | 1st try | 2nd try |
---|---|---|---|---|---|
Google Pixel 7a Android 14 |
Air Pro 4 Bluetooth 5.4 |
ゲームモード | SBC | 178ms | 176ms |
AAC | 219ms | 214ms | |||
Xtra Bluetooth 5.4 |
High Performance Mode |
SBC | 179ms | 164ms | |
AAC | 214ms | 213ms | |||
夢回 Bluetooth 5.3 |
GAME MODE | SBC | 176ms | 161ms | |
AAC | 240ms | 242ms |
続いては遅延の測定結果です。
各ワイヤレスイヤホンの低遅延モードを有効にして測定を行いました。
結果を見ると、遅延の数値に大きな差は見られませんでした。
音質
水月雨『夢回』は高音域と中音域がクリアで、繊細な表現力に優れています。
EarFun『Air Pro 4』とKZ『XTRA』は、QCC3091チップの特性なのか、低音域を強調することで、迫力のあるサウンドを実現しています。
両機の違いを測定してみましたが、KZ『XTRA』の特性が特殊なので、あまり参考にならないかもしれませんね。
音質はそれぞれのブランドの特色が出ていると思います。
Air Pro 4もしっかりと音が作られており、有線イヤホンで有名なブランドのTWSと比べても遜色のない音質が楽しめます。
ノイズキャンセリング機能は、3機種とも同程度で、強力ではありませんが、周囲の騒音を効果的に低減させています。
総評
EarFun Air Pro 4は、1万円前後のワイヤレスイヤホンとして非常に高い完成度を誇ります。
機能面やハードウェアは、3万円以上の高級モデルと遜色はありません。
また、水月雨やKZといった有線イヤホンメーカーが手掛ける同価格帯のワイヤレスイヤホンの音質に匹敵するレベルです。
この価格帯でこれだけの性能を実現しているのは驚きました。
ワイヤレスイヤホン選びで迷っている方には自信を持っておすすめできます。これは間違いないですよ。
購入方法
EarFun Air Pro 4は、Amazonで9,990円で購入できます。
カラーは、今回レビューした落ち着いたなブラックに加え、爽やかなホワイトもラインナップされています。
コメント