KZから新作イヤホン「Sonata」が発売されました。
BAドライバーを片側14基、合計28基も搭載しており、AS24を上回るドライバー数を誇ります。
価格は約150ドルから。
KZが展開するイヤホンの中で、フラッグシップ級に位置づけられる製品です。
一体どのような音質に仕上がっているのでしょうか。
AS24 Proとの比較を交えながら、このフルBA機「Sonata」を詳しくレビューしていきます。
パッケージ
パッケージを見た瞬間、その大きさに驚きました。
いつもパッケージサイズはコンパクトにまとめられていることが多いのですが、他のモデルと比べて格段に大きいです。
モノトーンの背景にイヤホンが大きく描かれたデザインは、高級感があります。
化粧箱も黒で統一されており、中にはイヤホンやアクセサリー類が収納されています。
パッケージからも、エントリーモデルと差別化を図っているようです。
アクセサリー
セット内容
- イヤホンケース
- イヤーピース:シリコンタイプ S/M/Lサイズ
- イヤーピース:フォームタイプ S/M/Lサイズ ※※ほかにMサイズが装着済み
- ケーブル:銀メッキフラットケーブル 3.5mm3極プラグ、0.75mmQDCタイプコネクタ
- ケーブル:784コア アップグレードケーブル 3.5mm3極プラグ、0.75mmQDCタイプコネクタ
- 説明書等
いつも付属している銀メッキフラットケーブルに加え、784コア アップグレードケーブルも同梱されています。
このケーブルは単品で20ドルほどで販売されており、お得感があります。
さらに、イヤホンケースも付属しており、ここでもエントリーモデルと差別化が図られているようです。
イヤホン
ビルド
フェイスプレートは、メタルフレームに樹脂製のプレートを組み合わせた構造で、さらに内部には波のようなデザインが施されたメタルプレートが配置されています。
この3ピース構造により、ビルドクオリティは非常に高く、高級感のある仕上がりとなっています。
シェル部分は樹脂製で、片側の重さは約8.5gです。
一般的な樹脂製イヤホンに比べて重たい部類に入ります。
ノズルの口径は6mmと標準的な太さです。
チューニングスイッチ付きモデルは、シェルにスイッチが取り付けられており、音質の調整が可能です。
イヤホン本体はそれほど大きくありませんが、厚みがあるため、装着感がやや甘いと感じました。
短時間の使用では特に問題はありませんでしたが、長時間使用するとイヤホンが耳に当たり、痛みを感じることがありました。
スペック
ドライバー・4wayクロスオーバー
Sonataは、24基のバランスドアーマチュアドライバーを搭載しており、4wayクロスオーバーによって各ドライバーの制御が行われます。
これにより、4つの周波数帯域が最適化され、それぞれの音が細かく調整されます。
スイッチ・周波数特性
スイッチによるチューニングが可能で、ユーザーの好みに応じた音の調整が楽しめます。
音質の変化は主に低音域に表れるようです。
仕様
ドライバー | Balanced Armature Driver ×14 | |
インピーダンス | スイッチ無し | 22Ω |
スイッチ付き | 22Ω – 50Ω | |
感度 | スイッチ無し | 113dB |
スイッチ付き | 110dB | |
周波数帯域 | 20Hz – 40kHz |
サウンド
使用環境
- アンプ :TOPPING L30
- DAC :TOPPING E30
- ケーブル :付属ケーブル(784コア アップグレードケーブル)
- イヤーピース:付属イヤーピース(シリコンタイプ)
- エージング :20時間
- スイッチ :全てOFF(Basic Curve)
音質
「BA機を聴いている」と実感させられる音質です。
特に分離感が優れており、低音域もしっかりと聴き分けられます。
「この音をダイナミックドライバーで表現するのは難しいだろう」と思わせるほどの完成度です。
フルBA構成は音が細くなるのではないかと懸念がありましたが、28基のドライバーが音の厚みと滑らかさを生み出し、濃密さを表現しています。
まさに数の暴力…!
音域バランスは弱ドンシャリ傾向ですが、特定の音域が突出しすぎることなく全体的にまとまっています。
「良い意味でKZらしくないバランス」が感じられ、分離感とバランスの良さは、緻密なチューニングと4wayクロスオーバー技術の成果といえます。
ただし、情報量が多いため、聴き疲れするのが早い傾向にあります。
高音域
BAらしいシャープで煌びやかな高音域が特徴です。
ザラつきが感じられるものの、耳に刺さるようなシャリつきは感じません。
適度に空気感を含んでいるので、シンバルなどの音は気持ちよく空気中に広がっていきます。
中音域
明るい中音域ながら、荒さがなく、滑らかさが感じられます。
粒立ちも鮮やかで、抜けが良いため、音が詰まったりこもったりすることはありません。
音の厚みと濃密さにより、中音域が物足りないと感じることはありませんが、ダイナミック感はあまり感じられません。
クリアで聴き取りやすい一方、生々しさは欠ける印象です。
ボーカルの表現力は男女ともに優れており、表現力が豊かです。
低音域
低音域は硬めのミッドベースがしっかりとした圧を感じさせます。
残響が少なく、タイトでキレの良い音質が印象的です。
また、分離感が高いため、低音域でも高い解像度を保っています。
サブベースは控えめで、抉るような迫力の低音ではありませんが、その控えめなチューニングは音全体のバランスを整えています。
定位・音場
定位は安定しており、特に問題はありません。
音場は広めで、音の広がりをしっかりと感じられます。
基本的にあらゆるジャンルの楽曲に対応できると思います。
低音を強調したい場合は、スイッチで調整することで「いつものKZらしい音」に切り替えることも可能です。
イヤーピース・ケーブル・アンプ
チューニングスイッチは主に低音域に作用しますが、中高音域を調整するにはイヤーピースの交換が有効です。
付属しているフォームタイプのイヤーピースは、高音域を抑えたい場合に適しています。
以下のイヤーピースとの相性が良いと感じました。
- TANGZU「唐三彩」
- 水月雨「清泉 – Spring Tips」
- TRI「角笛 Clarion」
付属の784コア アップグレードケーブルは 臭いが気になるため 使用せず、純度の高い別のケーブルと組み合わせています。
スマートフォンでも音量の確保は可能ですが、アンプを通した場合に比べて、中音域は擦れた音になり、低音域は迫力が不足します。
ポータブルアンプ程度の出力があれば十分に鳴らしきることができ、バランス接続ではさらに良い印象を受けました。
比較
KZ AS24Proと比較します。
どちらもチューニングスイッチ付きのモデルになります。
形状
重さ | ノズル | |
Sonata | 8.5g | 6mm |
AS24 Pro | 7.8g | 6mm |
KZ AS24 ProとSonataのイヤホンの形状はほぼ同じです。
ノズルの太さも共通して6mmで、大きな違いは見られません。
SonataはAS24 Proよりも1g重いですが、その差は装着時にほとんど感じられません。
装着感も特に違いはなく、筆者はどちらも長時間使用すると耳に痛みを感じます。
Sonataのフェイスプレートにはダクト、空気孔のような構造が設けられています。
また、フィルターも異なっており、これらが音質にどのような影響を与えるのかが気になります。
仕様・特性
ドライバー構成(片側) | 再生周波数帯域 | インピーダンス | 音圧感度 | |
Sonata | 14BA | 20Hz – 40kHz | 22-50Ω | 110dB |
AS24 Pro | 12BA | 20Hz – 40kHz | 20-50Ω | 109-114±3dB |
ドライバー数は異なりますが、特性においては大きな違いが見られませんでした。
音質
両モデルとも音質に大きな差はありませんが、いくつかの違いが感じられます。
特にわかりやすいのは、Sonataの高音域がより強調され、煌びやかさが際立っている点です。
また、Sonataは音に厚みと滑らかさがあり、まとまりのある印象。
一方、AS24Proは音が軽く、広がりを感じさせるサウンドが特徴です。
両モデルをじっくり聴き込めば音質の違いがわかりますが、パッと聴いただけでは5,000円の価格差を感じられないかもしれません。
総評
BA機ならではの鮮やかな音で、分離感が優れています。
音に厚みがあり、バランスも良く、素晴らしいイヤホンに仕上がっています。
音質はもちろん、パッケージからもKZの本気度が伝わってきます。
今後は、耳への負担をさらに軽減できる形状への改良を期待したいところですが、フラッグシップモデルとして申し分ない出来です。
KZの本気が伝わるイヤホン「Sonata」おススメです。
販売情報
KZ Sonataは、チューニングスイッチ付きと標準タイプの2種類から選べます。
各サイトで24,000円前後にて販売されています。
2024年最後のブログ更新となります。
今年1年間、ブログを読んでいただき、本当にありがとうございました。
来年も、読者の皆様により楽しんでいただけるよう、役立つ情報や面白い記事をお届けできるよう頑張ります。
2025年もどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
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