Kiwi Earsから有線ヘッドホン「Atheia」が発売されました。
50mmの大型ダイナミックドライバーと14.5mmの平面磁気ドライバーを搭載しているのが最大の特徴です。
このドライバー構成は、何十万円ものハイエンド機で採用されていますが、「Atheia」は約5万円という価格で実現しています。
今回は、ハウジングの木目が美しいヘッドホン「Atheia」を詳しくレビューします。
パッケージ


Atheiaのパッケージデザインは、木製ハウジングに調和する茶色の背景に、ヘッドホン描かれています。
同ブランドのイヤホンと統一感のあるデザインになっています。


パッケージ内には、ヘッドホンケースがひとつ収められています。
ケースの中にはヘッドホン本体やアクセサリーが入っているので、詳しく見ていきましょう。
アクセサリー

セット内容
- ヘッドホンケース
- ケーブル:3.5mmプラグ⇒3.5mmロック式プラグ左右両出し、1.5m
- 説明書
アクセサリーはケーブルのみです。
イヤホン
ビルド


木製のハウジングには、Kiwi Earsのロゴが彫り込まれています。
木材にはクルミ材が採用されており、オイル仕上げが施されているようです。
黒いアルミニウム合金パーツとの組み合わせは、落ち着いた印象でカッコいいデザインです。
ただし、個体差だと思いますが、塗装にムラがあり、仕上げのクオリティはあまり高くないように感じます。
また、開封直後は塗料の匂いが強かったので、気になる場合はしばらく乾燥させます。


ヘッドバンドは、アルミ製のアーチと頭に当たるクッションを組み合わせた2重構造を採用しています。
スライダーの長さ調節は約1cmと短めですが、クッション部のベルトが大きく伸縮するため、頭の大きい筆者でも問題なく装着できます。


楕円形のイヤーパッドには肌触りの良い合皮が使われており、柔らかいクッションです。
また、しっかりと厚みもあり、耳を覆うように設計されています。
イヤーパッドの内部には、ヘッドホンの左右表記が記載されています。
Atheiaはポータブル機のようにスイーベル機構を採用しており、ハウジングが90度まで開くように設計されています。
DTMなどで片耳で音を確認したい時や、持ち運びに便利です。
装着感


装着感はかなり良いです。
フルサイズヘッドホンほどの大きさはなく、ポータブルヘッドホンに近い印象です。
重量は実測で358gで、頭や首への負担は少ないです。
側圧もほどよく、締め付け感はほとんどありません。
それでいて、ヘッドホンが頭からズレ落ちることもなく、長時間でも快適に使用できます。
スペック

ドライバー | 50mm Dynamic Driver |
14.5mm planar magnetic driver | |
インピーダンス | 32Ω±10% |
感度 | 102dB±3dB |
周波数帯域 | 20Hz – 40kHz |
サウンド
使用環境


- アンプ :TOPPING L30
- DAC :TOPPING E30(AK4493)
- ケーブル :付属ケーブル
- エージング :80時間
音質

音質はモニター用途ではなくリスニング向きだと思います。
音楽をより楽しく聴くためのヘッドホンです。
中低音域には空間があり、音像とある程度の距離感があります。
ダイナミックドライバーや木製ハウジングが影響しているのか、基本的には柔らかい音という印象です。
高音域
平面ドライバーの影響だと思いますが、高音に向かうにつれて音が近くなり、硬い音に変わっていきます。
加えて、突き抜けるような明るさがあり、煌びやかさを感じます。
解像度も高く、細かい音まで綺麗に伸びてきます。
ただし、楽曲によっては鋭さが強調されすぎるので、刺さるように感じることがあります。
中音域
木製ハウジング特有の柔らかく丸い音で、優しく響きます。
ただし、密閉型の弱点でもある抜けの悪さが気になることがあります。
それを補うために平面ドライバーだと思いますが、音のこもりを完全に解消するわけではありません。
また、高音域と低音域のつながりは綺麗ですが、ドライバーの音色や余韻の違いによるものか、若干の違和感があります。
低音域
ダイナミックドライバーの余韻が心地よい。
空間は広く取られており、音像に距離感があるので残響が綺麗に響きます。
量感は中高音域とのバランスが取れており、前に出すぎることもなく、不足するほどでもありません。
定位・音場
定位感は問題なく、音像がしっかりと中央に位置しています。
音場は低音域ほど広がりますが、高音域ではあまり広さを感じません。
ケーブル・アンプ


ケーブルは、解像度を向上させて抜け感を良くしたい場合は、銀メッキケーブルがおススメ。
ただし、中高音域がさらに鋭くなるので注意が必要です。
付属ケーブルはモニターサウンド寄りの音質で、そのままでも十分使えました。
また、プラグはロック構造になっていますが、何度か試してもロックがかかりませんでした。
ピンアサインを調べたので、ケーブルを購入や自作する際の参考にしてください。
HIFIMANや水月雨で使えるケーブルは互換性があると思います。
デュアルドライバーのヘッドホンですが、鳴らしやすいヘッドホンです。
アンプはドングルDACでの運用は難しいですが、ポータブルアンプだと十分に鳴らせると思います。
比較
約4万円の価格帯がライバル機になってくると思うので、HIFIMAN Edition XSと比較します。

一番の違いは高音域にあります。
Atheiaの高音域は明瞭度が高く、アタック感がしっかりと感じられます。
また、音の響き方にも大きな違いがあります。
音の広がりについては、Edition XSは全体が響いて広がるのに対し、Atheiaは低音域から中音域にかけて部分的に広がりを感じます。
音の抜け感はEdition XSが優れていますが、これは開放型と密閉型の違いによるものとも言えます。
Atheiaのダイナミックで力強い中~高音域は、Edition XSにはない特徴のひとつです。
ただし、平面ドライバーとダイナミックドライバーの組み合わせにより、音色がやや不自然に感じる部分もあります。
両機はそれぞれ個性的なヘッドホンなので、優劣というよりも好みの違いで評価が変わります。
ジャズやオーケストラを聴くならHIFIMAN Edition XS、ロックやポップスを楽しむならAtheiaが合っていると思います。
総評

Kiwi Ears Atheiaのドライバー構成は、ダイナミックドライバーと平面磁気ドライバーの組み合わせで、価格は約5万円。
同じ構成を持つHIFIMANのISVARNAは約50万円です。
ドライバーサイズの違いはあるものの、Atheiaはその10分の1の価格であり、挑戦的なヘッドホンだと感じました。
特に装着感は優秀で、デザインも素晴らしく気に入りました。
音質は、平面ドライバーの力強く伸びてくる高音域と、ダイナミックドライバーの心地よい低音の余韻が組み合わさり、他のヘッドホンにはないサウンドとなっています。
販売情報

Kiwi Ears Atheiaは各サイトにて約4万5千円~5万円で販売中です。

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