HIDIZSは、最新DAP「AP80 PRO MAX」のクラウドファンディングを10月9日に開始しました。
本機は、コンパクトDAPとして高い評価を得た「AP80 PRO-X」の後綩モデルです。
「MAX」の名にふさわしく、通信機能や出力性能がさらに強化されています。
デュアルDAC構成を採用し、4.4mmバランス接続にも対応。
小さなサイズながら、本格的な高音質サウンドを楽しめる一台に仕上がっています。
今回は発売前に長期間触れる機会をいただけましたので、「HIDIZS AP80 PRO MAX」の音質やデザイン、操作感、機能面まで詳しくレビューします。
デザイン・仕様・操作性
パッケージ

パッケージは落ち着いた印象で、シンプルにまとめられています。
ロゴからも分かる通り、今回はLINSOULとのコラボモデルです。
アクセサリー

セット内容
- Type-C ケーブル
- Type-C to USB Type-C OTG ケーブル
- 保護フィルム
- ポストカード
- 説明書など
サイズ感


パッケージから取り出すと、手で握り込めるほどの小ささに驚きます。
さらに、最初から保護パネルが貼られているのも嬉しいポイントです。
iPhoneと比べてもそのコンパクトさは一目瞭然で、携帯性の高さが分かると思います。
名刺より一回り小さいサイズですが、厚みがあるためしっかりと手に収まり、安定感があります。
本体のハウジングにはアルミニウム合金が使われており、堅牢な作りです。
よく「手のひらサイズ」と呼ばれる製品は多いですが、手の中にすっぽり収まるサイズは、ほかにあまりないと思います。
デザインとハードウェア


本体の左側にはmicroSDスロットが搭載されており、ここから直接ローカルファイルを再生することが可能です。
下部にはUSB Type-Cポート、4.4mmバランスジャック、3.5mmシングルエンドジャックが並んでおり、自分のスタイルに合わせて接続が可能です。
右側にはボリュームノブがあり、押し込むことで電源のON/OFFや液晶の切り替えも兼ねています。
さらに、3つのボタンは一時停止や曲送りなど、音楽プレイヤーとしての基本操作を直感的に行える配置になっています。
操作性とUI


画面は先代モデル「AP80 PRO-X」の2.45インチ(480×360)から2.95インチ(360×640)に大型化され、視認性と操作性が向上しています。
個人的には前モデルのサイズはさらにコンパクトで良かったのですが、画面操作がやりにくいという感想をよく目にしていました。
そのため、操作性改善や4.4mmジャック搭載のためのサイズアップは納得の変更です。
OSは引き続きHiBy OSを採用しており、極端なモッサリ感はありません。
Androidのような拡張性はありませんが、余計なアプリや機能がないため、動作が重くなる心配もほぼありません。
UIはタッチ操作とフリック操作を中心に設計されており、直感的に使えます。
男性の指でも誤タッチしにくい液晶サイズで、画面操作のしやすさと携帯性のバランスが取れた設計です。
スマホと同じ感覚で操作できるため、説明書を見なくても問題なく使用できます。
バッテリー・接続安定性・携行性

バッテリーは約4時間の使用でおよそ半分ほど消費されました。
約8時間は問題なく使用できると思います。
Wi-FiやBluetoothの接続も、筆者の環境では安定しており、日常使いでストレスを感じることはありませんでした。
もちろん、混雑した場所でLDAC接続のワイヤレスイヤホンを使用すると安定しない場合もありますが、それはどの製品でも同じです。
自宅や普段の環境であれば安定して問題なく使用できます。
前モデルより若干サイズは大きくなりましたが、携帯性は高く、ポケットやカバンに入れても邪魔になりません。
基本的に手ぶらで出歩きたい筆者にとって、スマホと一緒に持ち歩いても邪魔にならない点は高評価です。
このモデルを選ぶ多くの人はコンパクトサイズを重視していると思いますが、その期待を裏切らない取り回しの良さです。
また、別売りの専用ケースも用意されており、合わせて使用することをおすすめします。
主なスペック
項目 | 詳細 |
---|---|
DACチップ | ES9219C ×2(デュアル構成) |
マスターチップ | Ingenic X1000E |
ディスプレイ | 2.95インチ(360×640)HD |
OS | HiBy OS(Linuxベース) |
Bluetooth | 5.1(SBC / AAC / aptX※送信のみ / LDAC / UAT対応) |
Wi-Fi | 2.4GHz |
対応フォーマット | PCM 32bit/384kHz、DSD64/128/256、MQA 16x |
出力(BAL) | 4.4mmバランス:125mW+125mW(@32Ω) |
出力(SE) | 3.5mmシングルエンド:70mW+70mW(@32Ω) |
ストレージ | microSD 最大2TB対応 |
バッテリー | 1300mAh(約8〜12時間再生) |
サイズ/重量 | 82.8 × 51 × 15.5mm/81g |
材質 | アルミニウム合金ボディ+立体ガラス(前後) |
主要スペックを見る限り、ワイヤレス製品としても、ドングルDACとしても、オーディオプレイヤーとしても十分な性能を備わっています。
機能・モードのチェック

AP80 PRO MAXには、多彩な機能が搭載されています。
USB DACとしての利用はもちろん、Bluetoothの送受信やストリーミング再生にも対応しており、単なるDAPとしてだけでなく、PCデスクやベッドの脇に置いても活躍するマルチな1台です。
ここでは、AP80 PRO MAXでの使い方をまとめます。
AudioPlayerモード
音楽ファイルをローカルで再生する基本モードです。
microSDカードに保存した音源を再生でき、3.5mmシングルエンド端子または4.4mmバランス端子で出力に対応。
ハイレゾ音源にも対応しており、小型でも本格的な再生環境を構築できます。
高出力なヘッドホンアンプにラインアウトし、多段構成にすることで、駆動力の必要なヘッドホンもしっかり鳴らせます。
USB DACモード
PCやスマートフォンとUSB接続することで、ドングルDACとして使用可能です。
高解像度なデジタル信号の入出力が可能で、最大PCM 32bit/384kHz、DSD256までのハードウェアデコードに対応。
手持ちのノートPCやスマホを、高音質再生機として使用できます。
双方向接続に対応しているため、HIDIZS「S8 Pro」などのドングルDACと接続することもできます。
また、電源や電波の影響かは分かりませんが、スマホと組み合わせた場合よりもクリアでスッキリした音に感じられました。
Wi-Fiモード
Wi-Fi経由でTIDALやQobuzといったストリーミングサービスに対応し、DLNAやAirPlay経由でワイヤレス再生も可能です。
ファームウェアアップデートもWi-Fiから直接行えるため、PCに接続せずに常に最新の状態を保てます。
Bluetoothモード
Bluetoothは送受信の双方向通信に対応しており、スマホのようにワイヤレスイヤホンやヘッドホンと接続して音楽を楽しむことができます。
対応コーデックはSBC / AAC / aptX(送信のみ)/ LDAC / UATと幅広く、環境に合わせた選択が可能です。
前モデルにも搭載されていたトランスミッター(送信機)機能も引き続き使用可能で、PCの音声をBluetooth経由でワイヤレスイヤホンに飛ばすことができます。
筆者のようなひきこも…デスク前にいることが多い人間には「神機能」です。
LDAC対応のヘッドホンで音楽を聴きながらPCの前から家中を移動できる…なんて素晴らしい!
音質インプレッション

こんなに多機能で使い勝手が良くても、肝心の音質が良くなければ意味がありません。
ここでは「HIDIZS AP80 PRO MAX」の音質についてレビューします。
評価には、メイン機として「HIDIZS MK12 Turris」を使用し、バランス接続とシングルエンドの両方でチェックしました。
さらに、複数のイヤホンで試聴し、駆動力の確認も行っています。
音質レビュー
HIDIZSらしい透明感の高い音質で、クリアかつ雑味のないサウンドが特徴です。
音域バランスも良く、特に中音域に張りがあり、自然に鳴ります。
ただし、圧はあまり感じられず、音圧も控えめです。
3.5mmシングルエンド接続ではさらにパワーダウンし、音の勢いがやや弱くなりますが、4.4mmバランス接続にすると音質がクリアになり、印象が良くなります。
ダイナミック感は控えめで、音の強弱は少なめですが、その分、繊細で美しい響きを楽しめます。
音場もわずかに広がりを感じられ、コンパクトDAPですが、上品な音作りです。
駆動力・相性
バランス接続で手持ちの多ドラ機や平面駆動型イヤホンを試しましたが、しっかり鳴らし切ることができました。
ポータブルヘッドホンであれば問題なく再生可能です。
駆動力が必要なフルサイズヘッドホンを使う場合は、高出力のヘッドホンアンプと組み合わせるのが無難でしょう。
再生モードとUI


操作感は一般的な音楽再生アプリとほとんど変わらず、初めてでも迷うことはありませんでした。
スクロールやボタンの反応も軽快で、もっさりとした遅延を感じることはほとんどありません。
楽曲の選択やフォルダ操作も汎用的な構成で、直感的に扱うことができます。
また、各モード(Audio Player/USB DAC/Bluetoothなど)の切り替えもスムーズで、シーンに応じた使い分けがしやすいと感じました。
音質調整(EQ・フィルター)


10バンドEQとMSEBを組み合わせることで、音質をカスタマイズできます。
特にワイヤレスイヤホンを使用する際に、その恩恵を大きく感じられます。
また、レビュー執筆時点では未実装ですが、リリース時にはPEQ機能が追加される予定です。
長所・短所・おすすめユーザー
しばらく使い込む中で見えてきた「HIDIZS AP80 PRO MAX」の長所と、気になったポイントを整理しました。
小型DAPでも音質面の完成度が高い一方で、ソフト面ではまだ改善の余地がある印象です。
良かった点
- コンパクトでも高音質で、ポータブルDAPとしての完成度が高い
- 駆動力が十分で、多ドラ機や平面駆動型イヤホンも問題なく鳴らせる
- LDAC対応のトランスミッター機能が便利
- OSアップデートの負担が少なく、動作が重くなりにくいため、長く快適に使える
惜しい点
- 出力パワーはあまり高くなく、音圧も控えめで、人によっては上品すぎると感じる
- 日本語表記に不自然な箇所があり、まだ改善の余地がある
- UIは使いやすいが、多機能ゆえに設定項目が複雑で、小さい画面で操作すると疲れる
おすすめユーザー
- 初めてのDAP購入で、失敗したくない方
- 既にDAPを持っていて、サブ機としてコンパクトなモデルが欲しい方
- 多彩な機能や高音質を兼ね備えたDAPが欲しい方
- スマホで音楽再生しているが、バッテリーの持ちを改善したい方
まとめ
HIDIZS AP80 PRO MAXは、小型DAPとしての完成度が非常に高く、音質・携帯性・デザインのバランスに優れた一台です。
初めてのポータブルDAPにはもちろん、既にDAPを持っている方にとっても、多彩な機能とコンパクトさからサブ機として安心しておすすめできます。
AP80 PRO MAXを一言で表すなら、まさに「掌の中の本格DAP」といった印象です。
販売情報

AP80 PRO MAXは、2025年10月9日よりKickstarterにてクラウドファンディングを開始します。
通常価格は239ドルですが、スーパーアーリーバードとして500台限定で139ドルで入手可能です。
また、純銅製のPure Copper Special Editionは通常299ドルで、699台限定で249ドルにてスタートします。
正直、スーパーアーリーバードは争奪戦になると思います。
Kickstarterのプロジェクトページもぜひチェックしてみてください。
HIDIZS公式ページ
Kickstarter

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