SIVGAから発売された「Que」は、フェイスプレートにホワイトメイプルウッドを使用しており、美しい木目のデザインが魅力です。
価格は約13,000円で、ドライバーにはベリリウムコート振動板が採用されています。
今回は、このイヤホンをじっくりと聴き込み、詳しくレビューしていきます。
なお、レビュー執筆後の現在も、普段使いのメインイヤホンとして愛用しています。
パッケージ
黒い箱には、金色の文字や装飾が施され、さらに光り輝くカササギという鳥の絵が描かれています。
とても高級感があり、趣のあるパッケージです。
箱を開けると、中にはイヤホンやアクセサリーが入ったボックスが収められていました。
ちなみに、カササギは中国では「鵲(què)」と書き、縁起の良い鳥とされています。
アクセサリー
セット内容
- イヤホンケース
- イヤーピース:球体型(白軸)S//M/Lサイズ
- イヤーピース:砲弾型(黒軸)S//M/Lサイズ
- ケーブル:3.5mm3極プラグ、0.78mm2Pinコネクタ
- 説明書
イヤーピースは2種類付属しており、形状に若干の違いが見られました。
よくイヤホンに付属されている汎用的なイヤーピースかと思いましたが、よく見ると「SIVGA」のロゴデザインされており、同ブランドのオリジナルイヤーピースでした。
イヤホン
ビルド
フェイスプレートにホワイトメイプルウッドを採用している点は、このイヤホンの最大の特徴であり、とても印象的です。
シェルには亜鉛合金が使用されており、木材と金属の組み合わせが高級感を演出し、美しい外観となっています。
ただし、片側10.2gという重量は、イヤホンとしては比較的重めの部類に入ります。
ビルドクオリティは非常に高く、完成度が高いです。
ノズルの直径は6.1mmと平均的な太さで、イヤホンは耳全体を覆うようにフィットします。
装着感が良く、長時間使用してもイヤホンの重さは気になりません。
スペック
10mm ベリリウムコート振動板 ダイナミックドライバー
Queのダイナミックドライバーには10mmのベリリウムコート振動板が採用されています。
ベリリウムは、非常に軽く、剛性の高い金属です。
このため、音の歪みが少なくクリアなサウンドが特徴で、特に高音域の表現力に優れていると言われています。
個人的な感想ですが、ベリリウムが使われた振動板は、エージングを行うことで音質が変化しやすい印象があります。
周波数特性
周波数特性を測定した結果、左右の低音域に約1dB程度のわずかな差異が確認されました。
これは個体差によるものと考えられます。
また、聴感上で影響を感じることはなく、定位の乱れもありませんでした。
仕様
ドライバー | 10mm Dynamic Driver |
インピーダンス | 32Ω |
感度 | 108dB±3dB |
周波数帯域 | 20Hz – 20kHz |
サウンド
使用環境
- アンプ :TOPPING L30
- DAC :TOPPING E30(AK4493)
- ケーブル :付属ケーブル
- イヤーピース:付属イヤーピース:砲弾型(黒軸)
- エージング :30時間
音質
自然な音でかなり聴きやすい。
暖色系のイヤホンは、その柔らかく優しい音質で聴き心地が良い反面、明瞭感が失われ音の細部まで聴き取りにくいという欠点があります。
特に、価格帯が下がれば下がるほど、顕著に表れている印象にあります。
Queは、暖かみのある音を保ちながら、クリアで解像度の高いサウンドを見事に両立しており、優れた音質だと感じます。
高音域
BAのような鋭いシャープな高音ではなく、滑らかで自然な伸びがあります。
質量は控えめで、シンバルなどの金属音はサラッとしていますが、聴かせるべきポイントはしっかりと前に出てきます。
また、軽やかな空気感も感じられます。
後述する低音域と明確に分離されており、絶妙なバランスで楽曲を奏でます。
優しい音が空気に広がるようで心地よく、何時間でも聴き続けられる音質です。
中音域
木製フェイスプレートを採用しているので、暗めで柔らかい音をイメージしていましたが、実際には明瞭感があり、音のディテールをしっかりと感じ取ることができます。
音がぼやけることなく、解像感が損なわれることもありません。
また、音の角が丸い印象があり、木製ならではの滑らかで暖かみがある音もしっかりと感じられます。
どちらかと言えば暖色系の音質に分類されると思いますが、偏りすぎることなく、バランスの取れた音が特徴的です。
この絶妙な音質こそがQueの大きなストロングポイントだと思います。
ボーカル表現も優秀で、男女問わず透明感のある歌声がスッと耳に入ってきます。
低音域
太く厚みがあり、ふっくらとした低音域が特徴です。
キレのあるタイプではありませんが、楽曲を包み込むような迫力があります。
余韻が多めに取られており、楽曲によってはモタつき感じる場合もありますが、全体的なバランスは崩れていません。
低音の量感が求められる楽曲では、その存在感をしっかりと感じることができます。
定位・音場
音場は広く、自然な音の広がりが優秀だと思います。
Queは、残響が多い低音域が特徴のため、ハードロックやテンポの速いEDMなどの激しい音楽ジャンルと相性が悪いです。
特に、歪みの強いギターは音が破綻するとまでは言いませんが、クリアな音質が損なわれてバランスが崩れます。
一方、同じジャンルでも、スローテンポからミドルテンポのEDMにおいては、Queは重低音を豊かに表現できるので、楽曲に深みを与えます。
イヤーピース・ケーブル・アンプ
Queはスマホに直接挿して使用できるイヤホンですが、低音域が薄くなってしまうので、個人的にはドングルDACなどと接続し、力強い低音域を楽しむことをおススメします。
付属のイヤーピースは装着感や音質に若干の違いが出るため、自分の好みに合わせて選んでみてください。
別のイヤーピースを合わせるのであれば、低音域がタイトになるイヤーピースとの相性が良いと思います。
また、リケーブルしてバランス接続にするのも選択肢の一つですが、個人的には付属のケーブルを使ったアンバランス接続でも十分だと思います。
ケーブルを交換するなら、銀メッキされた高純度の線材を使用したケーブルがおすすめです。
明瞭度が格段に向上し、よりクリアなサウンドを楽しめると思います。
比較
金属筐体で同じくベリリウムコート振動板が採用されている水月雨「蘭 – LAN」と比較してみます。
SIVGA「Que」 | MOONDROP「LAN」 | |
---|---|---|
再生周波数帯域 | 20Hz – 20kHz | 15Hz – 37kHz |
インピーダンス | 32Ω | 32Ω±15% |
音圧感度 | 108dB±3dB | 120dB/Vrms |
ドライバー | 10mm ベリリウムコート | 10mm ベリリウムコート |
ノズルの太さ | 6.1mm | 5.8mm |
重量(片側) | 10.2g | 9.3g |
国内価格 | 12980円 | 7200円 |
e☆イヤホンにおける2024年12月17日時点での参考価格です。
価格差はありますが、手持ちのイヤホンの中で近い特性を持つと思われるLANと比較してみます。
形状:
形状は大きく異なり、LANはコンパクトですが、Queタイプは大きめの設計です。
しかし、Queタイプもフィット感が良く、どちらも快適に装着できます。
音質:
音質は、周波数特性に示されている通り、両モデルで異なります。
特に低音域では顕著な差があり、中でもミッドベースの響き方に違いが見られます。
LANは引き締まったタイトな低音であるのに対し、Queは残響が多く、迫力のある低音域です。
中・高音域に関しては、聴覚上大きな差は感じられませんが、Queの5~10kHz付近の強調が低音との分離感を際立たせ、全体の音質が過度に暗くならないよう作用しています。
解像度についてはQueが優れており、音の細部までしっかりと捉えることができます。
また、音場もQueが圧倒的に広く、音の広がりをより明確に感じられます。
ただし、QueとLANには価格差があるため、優劣ではなく、あくまで参考としてご判断くださいませ。
総評
かなり良いイヤホンだと思います。
個人的には、いわゆる暖色系とされるイヤホンが苦手です。
明瞭感が不足して、ぼやけてしまう印象が強く、あまり好みではありません。
しかし、Queの音質は、自然な音で暖かみがありながらも、クリアでハッキリしています。
ベリリウムと木材を生かした緻密なチューニングが施されており、素晴らしい仕上がりだと思います。
そして何よりも、木製フェイスプレートのデザインがとてもカッコいい!
価格も高くはないので、ぜひ一度聴いてみてほしい、おすすめのイヤホンです。
販売情報
AmazonとAliExpressにて購入可能です。
価格は13000円前後となっています。
木製のフェイスプレートとかハウジングってイイよね。
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