Edifierヘッドホン修理・改造

Edifier『W820NB Plus』分解修理。ドライバーユニットを交換してみる。

どうせ断線だろうと思ったんです。
まさかワイヤレスヘッドホンのドライバーユニットを交換することになるとは思いませんでした。
しかも部品代が本体より高いってどういうこっちゃ。

───W820NB Plus
Edifierから発売されているワイヤレスヘッドホンで、約8000円という価格ながらLDACに対応し、コスパが良いとかなんとか言われています。
そんなW820NB Plusが「片側から音が出ない」という理由で、ジャンク品として売られていたので購入してみました。
きっと、断線しているだけで簡単に直せると思ったのです。
なにより、どんなヘッドホンか試してみたかったのです。

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状態確認

届いた『W820NB Plus』を見てみましょう。
外装に傷が見当たらず、とても綺麗な状態です。
アームやヒンジなどの可動部もスムーズに動き、不具合は見当たりません。
「これは新品です」と言われても分からない状態で、使用頻度が少なかったか、買ったばかりなのかと思います。

スライダー部も問題なく動作し、印字も綺麗なままです。
続いて、左(L)側のハウジングを見てみます。
こちらにはボタンやジャック類は一切ありません。

右(R)側のハウジングには、ボタン類やUSBコネクタが備えられています。
USBコネクタにケーブルを接続すると、インジケーターランプがオレンジ色に点灯し、通電していることが確認できました。
しばらく充電した後、電源ボタンを長押しすると、インジケーターランプが緑色に点灯して電源が入りました。

スマホと問題なくペアリングでき、LDACでの接続も確認できました。
音楽を流してみると、左(L)側から音が出ません。
症状が確認できたので左側を分解していきましょう。

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分解

イヤーパッドは、指を入れて引き上げることで簡単に取り外せます。
プロテクタは5本のネジで固定されており、振動板を保護するメッシュも貼り付けられています。
外したネジがドライバーユニットに吸い込まれなくて安心なのですが、なんかメッシュがガタガタで切り方が雑です…こんなもんなのかな。

プロテクタはネジを外せば簡単に外せます。
ただし、ドライバーユニットにつながる配線のトラップがあるので、切断しないように作業を進めます。
ハウジング内のスポンジを剥がすと基板が現れます。
基板の左側から3つがバッテリーに、次の4つがドライバーユニットに接続されていることが確認できます。
それ以降は右(R)側と繋がっています。
音声信号はL+とL-。
FBは恐らくfeedbackの略で、ノイズキャンセリングや外音取り込み用マイクの配線かと思います。

配線を外し、プロテクターを本体から切り離します。
ドライバーユニットを取り出すためには、黒色のカバーと灰色のプロテクターをさらに分離させる必要があります。

接着剤で固められていると予想して、無水エタノールを注入しながら、万力でカバーを歪ませて外してみます。
カバーが割れないように慎重に歪ませると、メリメリと接着が剥がれていきました。
今回は、この作業が一番大変だったと思います。

配線を切らないようにカバーを開くと、念願のドライバーユニットとご対面です。
ん?切らないように?
ここまで作業してきましたが、断線はしている箇所は見当たりませんでした。
つまり、音が出ない原因は、反対の右側での断線、はたまた「Beats Solo」でよくあるヘッドバンドの折り畳み部分での断線が濃厚です。
他に、Bluetooth周りドライバーユニットが壊れているです。
ドライバーユニットの修復は、恐らくボイスコイルの断線修理になると思いますが、自分にはできないので、壊れていたらお手上げです。
なにはともあれ、ひとつずつ要因を潰していきましょう!今日は長くなるぞッ!

まずはドライバーユニットをチェックしましょう。
恐る恐るテスターを当ててみますが…反応がありませんでした…つまり、ドライバーユニットが壊れていました。あう…

オラッ!ツラを見せるんだよ!!!
最後にどんな顔をしているか拝んでやろうと、接着剤で固定されたドライバーユニットを取り出してやります。
W820NB Plusの振動版ちゃんは綺麗な顔してやがりました。
※ちなみに、アップで写真を撮りましたが、汚いオッサンが映っていたのでボツにしました。
しかし、まだ残された道があります…それは、このドライバーユニットを交換してしまうという道です。

ドライバーユニット選定

そうと決まれば代わりのドライバーユニットを探してみましょう。
合いそうなドライバーが見つからなければ、修理は諦めてブログもお蔵入りにします。

W820NB Plusの仕様をチェックします。
直径が40mmで、インピーダンスは32Ωのドライバーを探します。
他の数値はドライバーの販売ページで確認できないので、今回は条件に加えません。
当てはまるドライバーユニットを我らがAliExpressで探していきます。

条件に合うドライバーがいくつか見つかりましたが、その中でも見た目が非常に似ている製品がありました。
裏に印字された文字列も似ていたため、これしかないと判断し、購入しました。
W820NB Plusの購入金額より、交換部品の方が高額なことに涙が止まりません。

W820NB Plusの修理をしていたことを忘れていたある日、部品が届きました!
しっかりと保護されていて損傷はありませんでした。

左がW820NB Plusに装着されていたドライバー、右が今回購入したドライバーです。
見た目は同じで、裏に刻印された数字も似ています。(反射して見えていませんが、頭のアルファベットは同じです。)
このドライバーユニットを使って組み立てていきましょう!

組み立て

接着剤でドライバーユニットを固定します。
愛用している接着剤「B-7000」を縁に塗り、配線の位置に合わせてドライバーユニットを取り付けます。

ここで、ドライバーユニットをチェックしていないことに気づきます。
テスターを合ってみると、32Ω前後の数値を行ったり来たりしているので問題ないでしょう。たぶん。
本当は届いてすぐにチェックします…

続いてはんだ付けです。
数年前、初めてドライバーユニットを購入する際、中国人のセラーを質問攻めにしたことがあります。
こて先の温度は300度までにするネ~!3秒以上こてをつけるとボイスコイルが焼き切れるから気をつけるアルよ~!うっせえから早く買えアルよ~」と、言っていたので気をつけてはんだ付けします。

無事にはんだ付けが終わったので、プロテクタの溝に接着剤を塗って、黒いカバーを装着します。
しっかりと接着されるまで24時間圧着します。

あとは元通りに配線していきます。
終わったらスポンジを戻して、ハウジングとプロテクタを固定します。
イヤーパッドは押し込んで「パチッパチッ」とツメをはめれば完成です。

動作確認

動作確認の結果、左右から問題なく音声が再生されました。
これにて修理完了!
と…言いたいところですが、左右で異なるドライバーユニットが取り付けられている状態です。
周波数を測定して大きな問題なければ終わりにしましょう。
なんせ、反対側も同じ作業をするのがめんどくさいのです。

簡易的な測定ですが結果出ました。
物凄く微妙ですが、聴覚上は違和感や定位のズレは感じません。
でも、いちおうやりますか…。

右(R)ドライバーユニット

同じ作業なのでサクッと進めていきます。
左(R)側は、ハウジング内の構造が右(L)側と違います。
メイン基板とボタンやジャック用の基板が二段構造になっていますね。

ドライバーユニットを交換します…ハァハァ…

配線して…はい!オシマイ!

どちらも交換したドライバーユニットの周波数特性です。
完全一致といきませんが、問題ありませんね。

Rドライバーの比較です。
うん…交換する意味あったのかな…?
恐らくですが、同じドライバーユニット…もしくは近いドライバーユニットに交換できたと思います。

簡易レビュー

楽しみにしていたEdifier W820NB Plusを聴いてみました。
ドライバーユニットが交換されているため、音質については断言できませんが「まぁ、こんなもんだよね…」と言うのが正直な感想です。
もちろん決して悪くはありませんが、脅かされるような音でもありませんでした。
ノイズキャンセリング機能も、ある程度の効果は確認できます。
コストパフォーマンスについては、製品の価格を考えると妥当で、「コスパが良い!」とは思わないです。

使用した工具

・ヘッドホン

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Edifier
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購入を検討されている方は、セール情報をこまめに見ることをおすすめします。
8000円以下ならアリかな~?と思います。

・ドライバーユニット

さまざまなドライバーユニットが販売されています。
ワイヤレスは難しいですが、有線であればサイズさえ合っていればいいので、色々と気にせず交換して楽しめますね。

・はんだこて

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白光(HAKKO)
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はんだこては色々と使いましたが、やっぱり定番のFX600に落ち着きました。
初めてはんだこてを買う方は、安いの物ではなくコレを買っておきましょう。
こて先はT18-C2がメインです。

・テスター

AstroAIならなんでもいいやと思って買ったテスターです。
普通に安くて良いと思います。

・万力

コレが無ければイヤホンやヘッドホンの修理、改造作業はできないです。
殻割りはコイツにお任せ!ほかにも色々な使い方ができます。

・オープナーツール

ドライバーユニットをめくり剥がす際に使いました。
同じ物はもう売っていませんが、少し力を使う作業はこれで良いと思います。

・無水エタノール

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接着剤を剥がすには、温めるか無水エタノールの二択です。

・接着剤

最近知ったのですが、接着剤は航空輸送禁止らしいので、AliExpressで買う際は到着するまで時間がかかります。
ですが、Amazonより安く購入できます。

最後に

書かなきゃいけないレビューを投げ出してやったヘッドホン修理はメチャクチャ楽しかったです。
壊れたヘッドホンがゴロゴロと部屋に転がっているので、時間を見つけて修理していきたいと思います。

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